【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(26日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる26日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ南部 黒海沿岸でミサイル攻撃相次ぐ

小麦などの輸出港が集まるウクライナ南部の黒海沿岸ではミサイル攻撃が相次いでいます。

ウクライナの非常事態庁などによりますと26日、オデーサから南に60キロほどにあるリゾート地がロシア軍のミサイル攻撃を受け、1人がけがをしたということです。

映像には、崩れた建物やがれきの間から煙が上がり、消防隊が消火活動を行っている様子が写っています。

ゼレンスキー大統領はSNSで「基地ではなく、軍隊もいなかった。ロシアはすべての責任を負わなければならない」と非難しています。

また南部ミコライウの市長は26日、ウクライナ軍からの情報として黒海の方向から多くのミサイルが発射され、港湾施設が攻撃を受けたと明らかにしました。

EU 加盟国のガス使用量 自主的に15%削減で合意

EU=ヨーロッパ連合は26日、ベルギー・ブリュッセルでエネルギー相会議を開き、加盟国のガスの使用量を来月から来年3月まで、自主的に15%削減することで合意しました。

ロシアからの天然ガスの供給が止まった場合に備え、冬を乗り切るために必要なガスを貯蔵することが目的です。

これに先立って今月20日、EUの執行機関にあたるヨーロッパ委員会は加盟国に対し、各国が自主的にガスの使用量を削減し、さらに深刻な不足が見込まれる場合はEUが強制的に制限することもありうるとする対策を提案していました。

一部の国が強制的な制限などに反対する立場を示したことから、今回の合意にあたっては、状況に応じて適用を除外することが盛り込まれているということです。

米国務次官“ロシアへの圧力を緩めず”

アジアを歴訪しているアメリカのヌーランド国務次官が26日、NHKのインタビューに応じ、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアへの圧力を緩めず、日本をはじめとしたG7=主要7か国が引き続き一致した対応を取ることが重要だと強調しました。

ヌーランド次官はオバマ政権下でヨーロッパ・ユーラシア担当の国務次官補として、2014年にロシアによるクリミアの一方的な併合への対応にあたるなどウクライナをめぐる外交政策に長く携わってきた人物です。

インタビューでヌーランド次官は軍事侵攻を続けるロシアについて「制裁の効果は必ずしも、すぐには表れないものだが、ロシアは徹底的な経済圧力を受けていると確信している」と述べたうえで、今回の来日でロシアへの制裁やウクライナへの人道支援などについて日本政府と協議したことを明らかにしました。

そして「最も重要なことは、この圧力を維持し緩めないことだ」と指摘し、ロシアへの制裁やウクライナへの支援などで日本をはじめとしたG7=主要7か国が引き続き一致した対応を取ることが重要だと強調しました。

さらにヌーランド次官は「中国も、ウクライナの戦争に対する民主主義国の結束した対応を注視している。中国に正しいメッセージを送らなければならない」と述べ、ロシアへの制裁に反対する立場を示している中国に警戒感を示しました。

さらにプーチン大統領が事業主体をロシア企業に変更するよう命じた日本の大手商社も出資する天然ガスの開発プロジェクト、「サハリン2」をめぐり「エネルギーをプーチンが日本に対抗する武器にさせてはならない。時間をかけて依存を終わらせるため日本とエネルギー需要について協議している」と述べ、ロシアからの輸入を減らすため日本と連携していくと強調しました。

ウクライナ駐日大使が都内で会見「戦争犯罪関心寄せて」

ウクライナの駐日大使は26日、都内で記者会見を開き、ロシアの軍事侵攻が始まってから5か月余りの間、市民の犠牲が後を絶たないとして「ロシアによる戦争犯罪や人道に対する罪に関心を寄せてほしい」と訴えました。

会見でウクライナのコルスンスキー駐日大使は、これまでの攻撃で犠牲になった市民の顔や破壊された現場の写真をスクリーンに映しながらロシア軍による攻撃の状況をひとつひとつ説明しました。

このうち今月14日、西部ビンニツァ州で市街地がミサイルで攻撃されたことについて大使は「ロシア軍はウクライナ軍が会議を開いていた場所を標的にしたと説明しているが、軍人は1人も死亡していない。亡くなったこの9人は町を歩いていただけだった」と強調しました。

また今月、東部ハルキウで攻撃に巻き込まれて亡くなった13歳の男の子の横で父親が手を握りながらぼう然としている様子を写した写真なども紹介し「ロシアによる戦争犯罪や人道に対する罪に関心を寄せてほしい」と訴えました。

またコルスンスキー大使は、ロシアが核兵器を使用するおそれは今後も排除できないと強い懸念を示したうえで「核兵器は禁止されるべきだ」と述べ、来月1日からニューヨークで開かれるNPT=核拡散防止条約の再検討会議で核兵器の廃絶を訴えていくと強調しました。

ウクライナ避難民1614人(24日時点)

出入国在留管理庁によりますと、ウクライナから日本に避難した人は、24日の時点で1614人となっています。

内訳はことし4月に政府専用機で避難してきた人が20人、政府が座席を借り上げた民間の航空機で避難してきた人が合わせて157人、そのほかの手段で避難してきた人が1437です。

性別は男性が405人、女性が1209人となっています。

年代別では18歳未満が361人、18歳以上~60歳以下が1038人、61歳以上が215人です。

入国日を月別にみると3月が351人、4月が471人、5月が332人、6月は282人、7月は24日までに178人です。

入国した人のうち、少なくとも47人は、すでに日本から出国しているということです。

政府は避難してきた人たちに90日間の短期滞在を認める在留資格を付与し、本人が希望すれば、就労が可能で1年間滞在できる「特定活動」の在留資格に変更することができます。
この在留資格に変更すると、住民登録をして国民健康保険に加入したり、銀行口座を開設したりすることができ、24日までに1294人が「特定活動」に資格を変更したということです。

政府は、ウクライナから避難した人たちのうち、日本に親族などの受け入れ先がない人については、一時的な滞在先としてホテルを確保し、受け入れ先となる自治体や企業などを探していて、今月22日までに45世帯80人の受け入れ先が決まっています。

ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めて5か月がたち、日本での避難生活が長期化する中、言葉や就労、教育などについてニーズに応じた支援が求められています。

萩生田経産相 経済分野で日米連携強化へ

日米両政府は、経済分野の議論を行う外務、経済閣僚による新たな協議の枠組み、いわゆる経済版の「2プラス2」の初会合を今月29日にワシントンで開きます。
会合に出席する萩生田経済産業大臣は、ロシアによる軍事侵攻や中国が覇権主義的な動きを強めていることを踏まえ、経済分野で日米間の連携強化につなげる考えを示しました。

日米両政府による経済版の「2プラス2」の初会合は、今月29日にワシントンで開かれ、日本からは林外務大臣と萩生田経済産業大臣が、アメリカからはブリンケン国務長官とレモンド商務長官が出席する予定です。

萩生田大臣は26日の閣議のあとの会見で「サプライチェーンや重要な新興技術など経済安全保障をめぐる課題について、率直な意見交換を行い、次のアクションにつなげていきたい」と述べ、経済分野で日米間の連携強化につなげる考えを示しました。

会合では、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や中国が覇権主義的な動きを強めていることを踏まえ、世界的に不足している半導体の供給網の強化や、先端技術の流出や悪用を防ぐための輸出管理の強化、さらに企業活動から強制労働など人権上の問題を排除するための枠組みづくりなどについて、議論する見通しです。

日米両政府は、会合のあと共同声明を発表することにしていて、経済安全保障をめぐる課題に一致したメッセージを打ち出せるかが注目されます。

ウクライナ国防相 ドイツ供与の自走式対空砲 到着明らかに

ウクライナのレズニコフ国防相は、ドイツが供与した「対空戦車」と呼ばれる自走式の対空砲がウクライナに到着したことをツイッターで明らかにし、「われわれの防空能力が強化されるだろう」として、欧米からの追加の軍事支援を得て徹底抗戦する構えを改めて示しました。

ウクライナ国防相 米供与兵器が大きな効果を発揮と強調

アメリカから供与された高機動ロケット砲システム=ハイマースについて、ウクライナのレズニコフ国防相は25日、地元テレビに対し、先月ハイマースを受け取って以降、ロシア軍の弾薬庫50か所を破壊したと明らかにしました。
そのうえで、「ロシア軍の物流網を破壊し、彼らの戦闘能力を奪うものだ」として、ハイマースがロシア軍に対する攻撃で大きな効果を発揮していると強調しました。

ロシア ドイツへの天然ガス さらに削減発表 本来の約80%減に

ロシアの政府系ガス会社、ガスプロムは25日、パイプラインの関連設備であるガスの輸送に使うタービン1台を保守作業のために停止させると発表しました。

これにより、天然ガスの供給量は今月27日から、本来の供給量からおよそ80%減ることになります。

ドイツ側は、ロシアのプーチン大統領が今月20日、タービン1台を近く修理に出す予定だと主張したことから、ロシア側の出方を警戒していました。

ドイツでエネルギー政策を担当する経済・気候保護省の報道官は25日、声明で「この削減は技術的な理由によるものではない」として、ロシア側が政治的な意図に基づき供給量を減らそうとしていると反発しています。

ドイツ政府は、ロシアからの天然ガスの供給の不安定な状況が長期化することを視野に、国民や企業に節約への協力を求めています。

ロシア軍 東部や南部を中心に攻撃を続ける

ロシア国防省は25日、ウクライナ東部ドネツク州にあるウクライナ軍の拠点を攻撃し、兵士と外国人のよう兵合わせて100人以上を殺害したほか、南東部ザポリージャ州や東部ハルキウ州でウクライナ軍の6つの指揮所を破壊したと発表しました。

さらに、ザポリージャ州や、東部のドニプロペトロウシク州にあるウクライナ軍の弾薬庫をミサイルで破壊したとするなど、東部や南部を中心に攻撃を続けています。

ウクライナ港からの小麦の輸出 早ければ今週中にも

ウクライナ政府は25日、記者会見を開き、ウクライナの港からの小麦などの輸出を、早ければ今週中にも一部で始め、今後2週間で、3つの港すべてで再開できるよう準備を進めていると明らかにしました。

会見でクブラコフ・インフラ相は、「ウクライナの救難船がすべての船に同行する」と述べ、安全対策を講じる姿勢を示しました。

また、ソルスキー農業政策・食料相は、現在およそ100億ドル、日本円でおよそ1兆3600億円相当の穀物を輸出できる状況にあるのに加え、ことし収穫予定の200億ドル、およそ2兆7200億円相当の穀物を追加で輸出する必要があると強調しました。

国連副報道官「小麦などの輸出再開 合意内容を再確認」

ウクライナ産の小麦などの輸出再開に向けて、ロシアとウクライナがトルコと国連の仲介で合意したことに関連し、国連のハク副報道官は25日、定例の記者会見で、「すべての当事者が頻繁に連絡を取り合っており、合意内容を再確認した。最初の船は数日内に動くだろう」と述べ、ロシア軍がウクライナの輸出拠点をミサイルで攻撃したあとも、輸出再開に向けた準備は進んでいると強調しました。

ウクライナ “ロシア軍によるブチャの拷問場所”を公開

ロシアによるウクライナ侵攻で多くの市民が殺害されているのが見つかった首都キーウ近郊のブチャで、地下室でロシア軍が市民を拷問し、殺害したとされる場所が報道陣に公開されました。

ウクライナ当局の説明によりますと、地下室は以前、倉庫として使われていたということで、コンクリートの壁で仕切られていて、入り口に最も近い部屋で若い男性3人の遺体が見つかったということです。
地下室を案内したウクライナ軍兵士は、「ロシア軍は、兵士や警察官などが、どこにいるかといった情報を得るために人々を拷問し、殴ったと思われる」と話していました。

OSCE=ヨーロッパ安全保障協力機構の報告書では、ブチャにあるキャンプ場でロシア軍が水責めなどの拷問を行い、全身にやけどや傷がある複数の遺体が見つかったとしています。

ウクライナ オデーサなど3港から小麦など輸出再開へ準備

ウクライナのクブラコフ・インフラ相とソルスキー農業政策・食料相などは25日、黒海に面する南部オデーサなど3つの港からの輸出再開について、記者会見を開きました。

この中で、ウクライナの港からの小麦などの輸出は、早ければ今週中にも一部で始め、今後2週間で3つの港すべてで再開できるよう準備を進めていると明らかにしました。

クブラコフ・インフラ相は、「ウクライナの救難船がすべての船に同行する」と述べ、安全対策を講じるとしています。

また、ソルスキー農業政策・食料相は、現在およそ100億ドル、日本円でおよそ1兆3600億円相当の穀物を輸出できる状況にあるのに加え、ことし収穫予定の200億ドル、およそ2兆7200億円相当の穀物を追加で輸出する必要があると強調しました。