ウクライナ産輸出再開不透明 ロシア 軍用車両にも損失拡大か

ロシアはウクライナ産の小麦などの輸出再開に向けて、国連などの仲介のもとでウクライナと合意した翌日に、輸出拠点をミサイルで攻撃し、合意が確実に履行されるかは不透明な状況です。一方、イギリス国防省はロシアは兵員不足に加え、戦闘で必要な軍用車両などにも損失が広がっているという見方を示しています。

ウクライナ軍などは、南部の港湾都市オデーサで23日ロシア軍によるミサイル攻撃があり、けが人が出たほか、港のインフラ施設が被害を受けたと発表し、ウクライナ側は非難を強めています。

オデーサの港はウクライナ産の小麦の輸出拠点で、ロシア軍による封鎖で輸出が滞っていましたが、ウクライナとロシアは、トルコと国連の仲介のもとで輸出再開に向けて22日、合意したばかりです。

一方、ロシア側は攻撃を認めたうえで、ロシア産の農産物も輸出できるよう欧米の制裁を解除すべきだと主張しています。

また、ロシア大統領府のペスコフ報道官は25日「出荷に何ら影響を与えない」と述べ、オデーサでの攻撃対象は軍事施設で、輸出再開に向けた合意とは関係がないものだと主張していて、合意が確実に履行されるかは不透明な状況です。

こうした中、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は24日、ロシアはウクライナでの戦闘に必要な兵力を確保するため北西部のボログダ州や中部のキーロフ州などロシアの地方都市を中心に契約軍人を募っていると指摘しました。

また、イギリス国防省は25日の分析で、ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州に、軍用車両の整備や修理を行う施設が確認されたとしています。

そのうえで「戦闘車両や装甲車両それにトラックなど、少なくとも300台の損傷した車両がある」と指摘し、ロシアは兵員不足に加え、戦闘で必要な軍用車両などにも、損失が広がっているという見方を示しています。