内閣府 今年度GDP成長率見通し下方修正 プラス2.0%程度に

内閣府は、今年度のGDP=国内総生産の成長率について、海外経済の減速で輸出の鈍化が見込まれるなどとして、これまでの見通しを下方修正し、物価の変動を除いた実質でプラス2.0%程度とする試算を明らかにしました。

内閣府は、25日の経済財政諮問会議で、今年度のGDPの成長率の試算を示しました。

それによりますと、成長率は実質でプラス2.0%程度とし、ことし1月の閣議決定でプラス3.2%としていた見通しを1.2ポイント引き下げました。

下方修正の理由について内閣府は、ロシアの軍事侵攻の影響で海外経済が減速し輸出の伸びが鈍化することや、中国の外出制限などに伴う供給制約によって設備投資の下振れが見込まれるためだとしています。

また、来年度の成長率については、個人消費や設備投資が着実に増加するとして、実質でプラス1.1%程度と3年連続のプラス成長を見込んでいます。

日本経済をめぐっては、エネルギーや食料価格の高騰が当面続くと見込まれるほか、このところ新型コロナの感染が急拡大していることから、こうした足元の動きにどう対処するのかも課題となります。

山際経済再生相「足元では持ち直しの動き」

山際経済再生担当大臣は、今年度の成長率を下方修正したことについて、25日の会見で「外需と設備投資の引き下げ幅が大きかった」と理由を説明する一方で「足元では個人消費をはじめ、かなり持ち直しの動きが見えてきている。また、供給制約も緩和に向かい、投資マインドも非常に旺盛であることから、今後の回復が期待される」と述べました。

そのうえで、山際大臣は「回復の動きを持続的なものとして、民需主導の自立的な成長につなげられるように経済財政運営に万全を期していく」と述べ、日本経済の着実な成長に向け政府として取り組みを進めていく考えを示しました。

物価の見通し大幅引き上げ

内閣府は、エネルギー価格や食料価格の高騰を背景に、25日の経済財政諮問会議で今年度の物価上昇率の見通しを大幅に引き上げました。

それによりますと、今年度の国内の企業物価の上昇率は昨年度に比べてプラス9.8%程度と試算しています。

これはことし1月に決めたプラス2.0%の見通しから7.8ポイントの大幅な引き上げとなっています。

また、今年度の消費者物価の総合指数はプラス2.6%程度と、ことし1月に決めたプラス0.9%の見通しから1.7ポイント引き上げました。

消費者物価指数をめぐっては日銀が先週、今年度の生鮮食品を除いた消費者物価指数の見通しを昨年度と比べてプラス2.3%に引き上げました。

今回の内閣府の試算はこれとは異なり、生鮮食品を含めた消費者物価の上昇率を試算したものです。