医療従事者など感染拡大で救急患者受け入れ制限や手術延期も

新型コロナウイルスの感染の急拡大で、東京都内の病院では医師や看護師などに感染が広がり、救急患者の受け入れの制限や手術の延期など医療体制に大きな影響が出ています。

東京 府中市の※榊原記念病院は、心臓や血管の治療などを専門に行っている病院で、都内全域から多くの患者を受け入れています。

医師や看護師などはワクチン接種を3回受け、家族以外と会食をしないなど対策を徹底してきましたが、今月7日以降、およそ800人の職員のうち、感染者と濃厚接触者が合わせて70人を超え、感染が広がっています。

病院では毎朝会議を開き、各部署で感染者の状況を共有しながら、当直や外来などのカバー体制を作っていますが、人員が足りないということです。

この病院は、都内の病院で作るネットワークに参加し、心疾患の救急患者を受け入れてきましたが、先週末まで10日間にわたって受け入れを止めざるをえませんでした。

また、予定されていた手術のうち、8件の延期を余儀なくされたということです。

榊原記念病院の磯部光章院長は「家族内で感染する職員が非常に多い。十分に注意していても感染するケースが目立ってきているので、これ以上の対策を立てようがない状況だ。心臓や血管の病気は急に発症して悪化していくので、治療の遅れが、その後の生活や生命に直結する。医療従事者の感染で受け入れられる病院が減ってくると、さらに危機的な状況に陥らないか心配だ」と話していました。

※榊は「木」に「神」

沖縄の医師 「救える命も救えない 絶望的な状況」

新型コロナの感染の急拡大で、沖縄県豊見城市の医療機関では、医療従事者の間で感染が広がるなどして人手が不足し、医療のひっ迫度合いが深刻な状況になっています。

医師は「必要な医療が提供できず、救える命も救えない絶望的な状況だ」と話しています。

豊見城市にある新型コロナの重点医療機関の「友愛医療センター」は、25日現在、医師や看護師などおよそ1400人いる医療従事者のうち、100人以上がコロナに感染したり濃厚接触者になったりして、勤務できない状態になっています。

その数は日々、増加しているということで、医療センターは現在、緊急手術が必要となる患者の受け入れを一部制限しています。

また、新型コロナの軽症と中等症の患者向けに確保している20床が、24日から満床になっているほか、重症患者用の3床も残り1床となっていて、受け入れを制限せざるをえないということです。

友愛医療センターの山内素直医師は「新型コロナ患者の対応はもちろんだが、それ以外の急病や熱中症で搬送されてきた患者、持病を持っている患者など、各所で対応が間に合っておらず必要な医療が提供できていない。救える命も救えない絶望的な状況だ」と話していました。

また、夏休みが始まり、多くの観光客が訪れることが予想される中、観光が医療に与える影響について懸念を示しています。

山内医師は「現在すでに、コロナ以外の酒の飲みすぎや熱中症などが原因で救急外来にかかる観光客が多い。コロナが大きく取り沙汰されているが、それ以外の医療もひっ迫しているので、自分たちが沖縄に来ることで与える影響についても想像力を働かせてほしい」と話していました。