【詳しく】桜島で初の噴火警戒レベル5 いったい何が?今後は?

7月24日夜、鹿児島県の桜島で爆発的な噴火が発生し、噴火警戒レベルが初めて最も高い「レベル5」に引き上げられました。

島内の一部の住民の避難など厳重な警戒を呼びかける一方、気象庁は「大規模な噴火が切迫している状況ではない」とも説明しています。

いったいどういうことなのか。そして、桜島の今後の活動の見通しや警戒点とはなにか。気象庁や専門家への取材から詳しく解説します。

7月24日夜8時すぎ 大きな噴石が…

桜島の南岳山頂火口で爆発的な噴火が発生したのは24日の夜8時すぎでした。

大きな噴石がこれまでの警戒範囲を超えて火口の東方向に飛び、2.5キロ付近まで達したのです。
気象庁は噴火のおよそ15分後に噴火速報を発表し、噴火警戒レベルを「5」に引き上げました。

「噴火警戒レベル」は火山活動の状況に応じて気象庁が5段階に分けて発表しています。
このうち、今回の「5」は最も高いレベルで、火口周辺の危険だけでなく、人が住む地域に重大な被害のある噴火が発生した際などに発表されます。

気象庁は火口からおおむね3キロ以内で大きな噴石に厳重に警戒するよう呼びかけ、こうした情報ももとに、鹿児島市は島内の一部の住民に避難指示を出しました。
2007年に警戒レベルが導入されて以降、「レベル5」に引き上げられたのは、鹿児島県の口永良部島の2015年の噴火以来2回目で、桜島では初めてでした。

2つの「レベル5」とは?

厳重な警戒が呼びかけられる一方、気象庁は「島内の広い範囲に影響を及ぼすようなより大規模な噴火が切迫している状況ではない」とも説明しました。

最も高いレベル5に引き上げたのに、「今回より大規模な噴火」とはどのようなことなのでしょうか。

実は、桜島では噴火警戒レベル「5」の中でも、2つの想定を準備しています。

その1.爆発的な噴火

1つめの想定が、今回のような爆発的な噴火です。

桜島は頻繁に噴火が起きる火山として知られていますが、噴石が想定以上に飛んで島内の一部の地域に危険が及ぶようなとき、その地域の住民に避難を呼びかけるためにレベル5に引き上げます。

いわば「ふだんの火山活動の延長」で出すレベル5です。

その2.大規模噴火

もう1つの想定が島内の広い範囲に被害が及ぶほか、島外を含む広域にわたって火山灰などの影響が及ぶ「大規模噴火」です。

過去の代表的な例がおよそ100年前の1914年に起きた大正噴火で、噴火に伴う噴石や火砕流が島の住宅地まで達したほか、山の西側と南東側の山腹から大量の溶岩が流れ出し、桜島が大隅半島と陸続きになりました。
こうした噴火が予測される場合も気象庁はレベル5に引き上げることにしていて、鹿児島市の地域防災計画では住民を島外避難させることなどが定められています。

気象庁の説明する「大規模な噴火が切迫している状況ではない」とは大正噴火のような規模の噴火は今回、直ちに想定されていないということなのです。

「大規模噴火」でなくても被害発生

「より大規模な噴火」に至らないとしても、油断できる状況ではありません。

桜島でレベル5に引き上げられたのは今回が初めてですが、専門家などを取材すると、今回のような爆発的な噴火は桜島で過去に繰り返し発生しているというのです。

噴火活動が活発だった1970年代から80年代に今回ほどの規模の噴火はたびたび起きています。

1986年11月には火口からおよそ3キロ離れた、現在の鹿児島市古里町にあったホテルの建物に直径およそ2メートル、重さおよそ5トンの噴石が落下しました。
また、2020年6月4日に起きた噴火では、大きな噴石が火口から3キロを超えて飛散。

噴石は人の住む地域から100メートル余りしか離れていない場所に落下しました。
しかし、気象庁が確認できたのは噴火から4日後のことでレベルは引き上げませんでしたが、のちに「レベル5に引き上げる事例だった」と説明しています。

桜島の噴火活動を長年研究する京都大学火山活動研究センターの井口正人教授は「今回の噴火は桜島でいえば普通にある爆発的な噴火だと認識している。警戒点は今までと変わらないが、桜島はもともと活動的な火山だということをもう1度認識し直すべきだ」と指摘します。

今後の火山活動の見通しは

今も桜島では住民の避難が続いていて、鹿児島市から避難指示が出されている有村町と古里町の一部の合わせて33世帯、51人についてはすべての世帯の避難が確認されています。
それでは、今後の火山活動はどうなるのでしょうか。

気象庁が注目しているのが、地殻変動のデータです。

今月18日から桜島では地下からマグマが上がってきた際などに起きる、山体の膨張や隆起を示すわずかな地殻変動が観測されていて、その後、今回の噴火が発生しました。

噴火のあとも山体が膨張した状態は続いているということで、再び今回のような噴火につながらないか、気象庁は注意深く監視しています。

また、気象庁は噴火警戒レベルの引き下げについて「大きな噴石や火砕流が当該距離に影響する噴火が3日間発生しない場合、レベルを引き下げる」と説明しています。

ただ、火山活動が非常に活発化しているため、火口からおおむね3キロの範囲には絶対に近づかないよう呼びかけています。

大正噴火級の大規模噴火への備えを

今回の噴火などを受け、京都大学の井口教授が改めて強調するのが、大正噴火クラスの大規模噴火への備えを進めることの大切さです。
これまでの地殻変動の研究などから、姶良カルデラの地下のマグマの量は、「大正噴火」以前の9割まで戻っていると考えられています。

井口教授は「今後、備えるべきは大正噴火級の大規模噴火で、その大規模噴火が起きてから対応するのではなくなんとしても事前避難を成し遂げないといけない。本当に危ないときにちゃんと対応できる態勢を作ることが重要だ」と話しています。