安倍元首相銃撃 容疑者を精神鑑定へ 大阪拘置所に移送

安倍元総理大臣が奈良市で演説中に銃で撃たれて死亡した事件で、奈良地方検察庁は、これまでの供述などを踏まえ、容疑者の刑事責任能力を調べる精神鑑定を行うため、25日、容疑者を大阪拘置所に移送しました。

今月8日、奈良市で演説をしていた安倍元総理大臣が銃で撃たれて死亡した事件で、警察は奈良市に住む無職、山上徹也容疑者(41)を逮捕して、殺人の疑いで捜査しています。

奈良地方検察庁は、これまでの供述などを踏まえ、刑事責任を問えるかどうか調べる精神鑑定を行うため25日、山上容疑者を奈良西警察署から大阪拘置所に移送しました。

山上容疑者は午前10時15分ごろ、奈良西警察署で表情を変えることなく、車に乗り込みました。

そして、前後を警備のための車両に挟まれ、大阪拘置所に午前11時10分すぎ到着しました。

これまでの調べによりますと、容疑者は、母親が多額の献金をしていた「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会に恨みを募らせた末、事件を起こしたとみられています。

手製の銃などを準備して、団体の総裁を狙っていたものの襲撃の機会がなかったため、団体と近しい関係にあると思った安倍元総理大臣を標的にしたなどと供述しているということです。

鑑定留置の期間は、25日から11月29日までのおよそ4か月間で、専門の医師が精神鑑定を行い、当時の精神状態などを詳しく調べます。

奈良地方検察庁は、その結果などを踏まえて、起訴するかどうかを判断することになります。

専門家「丁寧で正確な動機の解明が重要」

犯罪精神医学が専門の聖マリアンナ医科大学の安藤久美子准教授によりますと、容疑者の刑事責任能力を調べる精神鑑定では、医師が容疑者と面接を行うなどして、その精神状態が事件に影響したかどうかなどを調べます。

今回の精神鑑定は、起訴の前に検察の要請で行われるもので、検察がその結果などを踏まえて、起訴するかどうか判断するとみられます。

安藤准教授は「山上容疑者に面会していないので正確な分析はできないが、報道で知るかぎりでは、宗教団体と安倍元総理大臣との間に何らかの関係があると疑っていたとみられる。宗教団体への恨みから犯罪行動に発展するまでの思考や行動に飛躍がなかったか、正確に調べていく必要がある。それが精神障害の妄想によるものなのか、あるいは思い込みなのかが、責任能力を判断するうえで重要になる」と話しています。

そのうえで「恨みだけでなく、自暴自棄や、社会的に自分を抹殺するような心理もあった可能性があり、本人の供述について、捜査機関ではない立場の鑑定人が調べることが大切だ。容疑者の周りの家族や友人、同僚などの話も聞きながら、違和感のある発言や行動がなかったかなどを調べ、丁寧で正確な動機の解明が重要だ」と指摘しています。

事件現場では改めて現場検証

奈良市の大和西大寺駅前の事件現場では、25日4時半ごろから、警察が付近を通行止めにしたうえで、改めて現場検証を行いました。

事件当時、通りかかった車のドライブレコーダーの映像に、当時の状況がうつっていたということで、この車を現場に置いて、映像と照らし合わせながら、容疑者の位置関係などを確認していました。