「サル痘」に備え 薬やワクチンなど整備進める 厚労省

サル痘の患者が国内で確認された場合に備え、厚生労働省は治療薬やワクチン、医療機関での受け入れ態勢などの整備を進めています。

治療薬については国内で承認されている薬がないため、サル痘と症状が似た天然痘の治療薬、「テコビリマット」という飲み薬を研究目的として投与できる仕組みを作っています。

投与を受けられるのは現時点で
▼東京の国立国際医療研究センターと
▼大阪のりんくう総合医療センター、
▼愛知の藤田医科大学病院、それに
▼沖縄の琉球大学病院の4か所です。

ワクチンについても厚生労働省はサル痘に対しておよそ85%の発症予防効果があるとされる天然痘のワクチンの使用を承認するか、7月29日に専門家部会を開いて審議を始めることにしています。

これに先駆けて国立国際医療研究センターでは研究目的として入院患者を担当する医師や看護師など50人に接種を済ませていて、保健所や地方衛生研究所の職員などにも拡大することを検討しています。

検査については、厚生労働省はすべての都道府県の地方衛生研究所で実施できる体制を整備し、自治体に対して感染が疑われる患者がいれば速やかに報告するよう求めています。

感染が確認された場合は、全国に58か所ある感染症の指定医療機関などで優先的に受け入れ、患者の家族など感染したリスクが高い人がいれば毎日、保健所を通じて健康状態の確認を行うことも求めています。

厚生労働省は「どこで患者が見つかっても速やかに検査や治療につなげられるよう自治体と協力して体制を強化していきたい」としています。

専門家「国際的な協力体制ないと対応が難しい」

WHO=世界保健機関が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したことについて、サル痘に詳しい岡山理科大学の森川茂教授は「人から人への感染がここまで広がったことは初めてで、多くの国に感染が広がり、患者数の増加に歯止めがかかっておらず、国際的な協力体制がないと対応が難しくなっている。宣言をしたのは妥当な判断だと思う」と述べました。

その一方で、「感染拡大を抑え込めている国もあることなどから、緊急委員会では全会一致ではなかったようだが、WHOは新型コロナの際、感染が拡大した後に後追いで緊急事態の宣言をしたことの反省もあったのではないか」と話しています。

また、日本でのリスクについて「感染は欧米だけでなく、韓国やシンガポール、タイなどアジアにも広がっていて、日本でもいつ感染者が出てもおかしくない。国内でも検査・診断体制の準備は、各地の衛生研究所などで進められていて、政府や行政、医療機関は、危機感を持って備える状況になっている。日本は、コロナへの対応でマスクの着用や消毒が行われているので、それを徹底すれば有効と思う。また、サル痘の感染によって命にかかわるようなケースは少ないので、一般の人は今のところ、怖がりすぎる必要はないかと思う。患者が多く出ている国に渡航する場合は、こまめに手を洗うなどして対策すれば、感染リスクはかなり下げられると思う」と指摘しました。