平幕の逸ノ城は初めての優勝を果たし「とてもうれしい。前に13番、14番勝っても優勝できなかったので、優勝できてうれしい」と喜びを語りました。
結びの一番は優勝決定戦に備えて支度部屋で準備をしていたということで、優勝が決まった瞬間については「決まってくれてよかった」とほっとした様子でした。
新型コロナウイルスの感染が確認され夏場所は休場を余儀なくされ、休場明けとなった今場所については「ほかの力士よりは休んだと思っていたので、その分、今場所に出そうと思ってやってきたのでよかった」と話しました。
14日目の23日は3敗目を喫し、24日の宇良との一番に向けて「きのうのことは忘れてきょう一日は最後だと思って気持ちも切り替えてやってきたので、引きずることはなかった。あまり得意じゃない相手だが、きょうこそ思い切りやろうと思っていた」と振り返りました。
そして今後に向けては「ほんとにまたゼロからしっかりやるだけだ。変なことを考えずに一生懸命頑張る」と意気込みを示しました。
大相撲名古屋場所 逸ノ城が初優勝 平幕力士の優勝は9場所ぶり
大相撲名古屋場所は千秋楽の24日、平幕の逸ノ城が12勝3敗の成績で初めての優勝を果たしました。平幕力士の優勝は去年初場所の大栄翔以来、9場所ぶりです。
大相撲名古屋場所は23日、14日目を終えて3敗で横綱・照ノ富士と前頭2枚目の逸ノ城がトップで並んでいました。
24日の千秋楽では、先に取組があった逸ノ城が前頭3枚目の宇良に勝ち、結びの一番で照ノ富士が大関・貴景勝に敗れたため、12勝3敗で逸ノ城の初めての優勝が決まりました。
平幕力士の優勝は去年初場所の大栄翔以来、9場所ぶりです。
また、モンゴル出身の力士としては8人目の幕内の優勝力士となりました。
逸ノ城は新型コロナウイルスの感染で先場所を休場し、休場明けで今場所に臨みました。
序盤から左の上手を取って前に圧力をかけて攻める相撲が光り、今場所の5日目には照ノ富士から金星を挙げました。
6日目までは勝ちっぱなしの6連勝で7日目と8日目に2連敗したものの後半戦は再び落ち着いた取り口で安定感を取り戻して初めての優勝を果たしました。
逸ノ城「とてもうれしい」
春日野親方「よく最後まで頑張った」
弟子が新型コロナウイルスに感染した八角理事長に代わり、取材対応にあたった春日野親方は初優勝した逸ノ城について「相手を正面において自分の相撲をとりきったということ。体が大きいから相手は翻弄してくるが、それにも対応して本来の自分の右四つの相撲が多かった。よく最後まで頑張った」と評価しました。
今後に向けては「右四つには絶対の自信がある。早くその形になれるよう圧力をかけて前にも落ちない相撲がとれれば大化けする。今後はそれに期待したい」と話していました。
また、新型コロナの影響で力士や親方などの途中休場が相次いだ今場所を振り返り、「確かに休場者が多数でた。なんとか千秋楽までこぎつけてひと安心ではあるが、今後の課題もある。濃厚接触者の対応などを今後は考えていかないといけない」と話していました。
今後に向けては「右四つには絶対の自信がある。早くその形になれるよう圧力をかけて前にも落ちない相撲がとれれば大化けする。今後はそれに期待したい」と話していました。
また、新型コロナの影響で力士や親方などの途中休場が相次いだ今場所を振り返り、「確かに休場者が多数でた。なんとか千秋楽までこぎつけてひと安心ではあるが、今後の課題もある。濃厚接触者の対応などを今後は考えていかないといけない」と話していました。
審判部副部長 粂川親方「落ち着いて相撲を取っていた」
日本相撲協会審判部の副部長を務める元小結・琴稲妻の粂川親方は、初優勝を果たした逸ノ城の24日の取組について「落ち着いて相撲を取っていた。相手を動かさないという作戦勝ちですね」と評価しました。
一方、結びの一番で敗れた横綱・照ノ富士については「きのうは攻め急いだだけだったが、きょうは受けすぎましたね」と振り返りました。
照ノ富士を破った大関・貴景勝については「逸ノ城が勝った時点で自分の優勝はなくなったのに気持ちを抜かなかった」と話していました。
そして、新型コロナウイルスの影響などで休場者が相次いだ15日間を終えて「ほっとしている。毎日神頼みのような日々だった」と話していました。
一方、結びの一番で敗れた横綱・照ノ富士については「きのうは攻め急いだだけだったが、きょうは受けすぎましたね」と振り返りました。
照ノ富士を破った大関・貴景勝については「逸ノ城が勝った時点で自分の優勝はなくなったのに気持ちを抜かなかった」と話していました。
そして、新型コロナウイルスの影響などで休場者が相次いだ15日間を終えて「ほっとしている。毎日神頼みのような日々だった」と話していました。
逸ノ城とは
逸ノ城はモンゴル出身の29歳。
身長1メートル92センチ、体重211キロの角界でも屈指の巨体を生かした四つ相撲が持ち味です。
12年前の平成22年、横綱・照ノ富士とともに来日して、相撲の強豪、鳥取城北高校に入学し、相撲に取り組みました。
高校卒業後も相撲を続け、平成25年全日本実業団選手権の個人戦で優勝して湊部屋に入門し、平成26年初場所で、幕下15枚目格付け出しとして初土俵を踏みました。
初土俵から2場所連続で勝ち越し夏場所で十両に昇進してすぐに十両優勝を果たしました。
さらに、その年の秋場所で新入幕を果たし前頭10枚目で横綱・鶴竜から金星を挙げるなど13勝2敗という活躍で殊勲賞と敢闘賞を同時に受賞しました。
続く九州場所では西の関脇として新三役になり幕下付け出しでの初土俵からわずか5場所での関脇昇進は、昭和以降では武双山の7場所を上回る最も早いスピード出世となりました。
当時は、一緒に来日した照ノ富士をしのぐ存在感を示していましたが、その後、腰痛や右肩のけがの影響で休場するなどしておととしの初場所では十両に番付を落としました。
その年の秋場所には再び幕内に復帰しその後三役にも返り咲きましたが、前頭筆頭となった先場所は場所前に新型コロナウイルスへの感染が確認されたことからすべて休場し、今場所は休場明けで臨んでいました。
身長1メートル92センチ、体重211キロの角界でも屈指の巨体を生かした四つ相撲が持ち味です。
12年前の平成22年、横綱・照ノ富士とともに来日して、相撲の強豪、鳥取城北高校に入学し、相撲に取り組みました。
高校卒業後も相撲を続け、平成25年全日本実業団選手権の個人戦で優勝して湊部屋に入門し、平成26年初場所で、幕下15枚目格付け出しとして初土俵を踏みました。
初土俵から2場所連続で勝ち越し夏場所で十両に昇進してすぐに十両優勝を果たしました。
さらに、その年の秋場所で新入幕を果たし前頭10枚目で横綱・鶴竜から金星を挙げるなど13勝2敗という活躍で殊勲賞と敢闘賞を同時に受賞しました。
続く九州場所では西の関脇として新三役になり幕下付け出しでの初土俵からわずか5場所での関脇昇進は、昭和以降では武双山の7場所を上回る最も早いスピード出世となりました。
当時は、一緒に来日した照ノ富士をしのぐ存在感を示していましたが、その後、腰痛や右肩のけがの影響で休場するなどしておととしの初場所では十両に番付を落としました。
その年の秋場所には再び幕内に復帰しその後三役にも返り咲きましたが、前頭筆頭となった先場所は場所前に新型コロナウイルスへの感染が確認されたことからすべて休場し、今場所は休場明けで臨んでいました。
初優勝までの道のり
初優勝を果たした逸ノ城は今場所、素早くまわしを取って力強く寄り切る相撲が光りました。
先場所は新型コロナウイルスの感染で休場を余儀なくされ、休場中の心境を「テレビで相撲を見て、俺も頑張らないとなと考えた。しっかり次の場所に向けてやろうと」と振り返っていました。
そのことばを証明するように幕内最重量の体重211キロの巨体を生かし、前に出る相撲を貫き、白星を重ねていきました。
5日目は過去の対戦成績で2勝13敗と大きく負け越していた横綱・照ノ富士との結びの一番で立ち合いすぐに左の前まわしを取って横綱相手に先手を取り、そのあとももろ差しのまま前に出続けて横綱を寄り切って金星を挙げました。
今場所の調子のよさを象徴するような取組で、逸ノ城は、取組後も「自分の相撲に集中するだけ」と冷静に話していました。
金星について日本相撲協会の八角理事長は「落ち着いているし、先に圧力をかけているから照ノ富士が何もできなかった。優勝候補に名乗りをあげたという感じかな」と評価していました。
その後、7日目には大関・正代に、中日には平幕の琴ノ若に連敗したものの、9日目は過去の対戦成績で3勝3敗と互角の霧馬山を相手に前に攻め続ける相撲で勝ち、14日目に平幕・明生に敗れるまで5連勝して終盤の優勝争いを盛り上げました。
今場所の好調ぶりについて師匠の湊親方は「立ち合いは低く、速く立てているのが1つかなと。上手が早く取れている攻めもいい」と相撲内容を評価していました。
また、湊親方は逸ノ城が一時は歩くことができないほどの腰の痛みを経験したことから「前は『腰が痛くなったらどうしよう』と怖がっていた。『こうなったらどうしよう』というのが土俵際ですぐ下がったり粘りがなかったりした原因だったと思う。今場所はそれが気にならず相撲を取れている」と分析していました。
場所中でも若い力士を相手にぶつかり稽古を行うなど決められたメニューを着実に行ってきたという逸ノ城。
新入幕からまもなく8年となる今場所、地道に稽古に打ち込んだ成果が実を結びました。
先場所は新型コロナウイルスの感染で休場を余儀なくされ、休場中の心境を「テレビで相撲を見て、俺も頑張らないとなと考えた。しっかり次の場所に向けてやろうと」と振り返っていました。
そのことばを証明するように幕内最重量の体重211キロの巨体を生かし、前に出る相撲を貫き、白星を重ねていきました。
5日目は過去の対戦成績で2勝13敗と大きく負け越していた横綱・照ノ富士との結びの一番で立ち合いすぐに左の前まわしを取って横綱相手に先手を取り、そのあとももろ差しのまま前に出続けて横綱を寄り切って金星を挙げました。
今場所の調子のよさを象徴するような取組で、逸ノ城は、取組後も「自分の相撲に集中するだけ」と冷静に話していました。
金星について日本相撲協会の八角理事長は「落ち着いているし、先に圧力をかけているから照ノ富士が何もできなかった。優勝候補に名乗りをあげたという感じかな」と評価していました。
その後、7日目には大関・正代に、中日には平幕の琴ノ若に連敗したものの、9日目は過去の対戦成績で3勝3敗と互角の霧馬山を相手に前に攻め続ける相撲で勝ち、14日目に平幕・明生に敗れるまで5連勝して終盤の優勝争いを盛り上げました。
今場所の好調ぶりについて師匠の湊親方は「立ち合いは低く、速く立てているのが1つかなと。上手が早く取れている攻めもいい」と相撲内容を評価していました。
また、湊親方は逸ノ城が一時は歩くことができないほどの腰の痛みを経験したことから「前は『腰が痛くなったらどうしよう』と怖がっていた。『こうなったらどうしよう』というのが土俵際ですぐ下がったり粘りがなかったりした原因だったと思う。今場所はそれが気にならず相撲を取れている」と分析していました。
場所中でも若い力士を相手にぶつかり稽古を行うなど決められたメニューを着実に行ってきたという逸ノ城。
新入幕からまもなく8年となる今場所、地道に稽古に打ち込んだ成果が実を結びました。