ウクライナ東部からの避難民 “どこに帰ったらいいのか”

ロシア軍が攻勢を強める東部ドンバス地域などからは多くの人たちが逃れていますが、今も戻るめどが立たず避難生活が長期化しています。

このうち、ウクライナ中部のポルタワ州は東部から比較的近いため、地元当局によりますと、州の中心都市ポルタワには東部などから逃れてきた避難民およそ6万人が学校などの避難所に身を寄せています。

ポルタワ市内の幼稚園に設けられた避難所で夫と孫と生活しているライーサ・オロブチェンコさん(73)はことし4月、東部ドネツク州のウクライナ軍の拠点となっているスロビャンシクから逃れてきました。

オロブチェンコさんは逃げてきた当時の状況について「上空を大きな音を出しながら航空機が飛んでいたほか、家のすぐ近くで大きな砲撃の音がしたこともある。4月上旬に、近くの鉄道の駅がミサイル攻撃を受けたあと、避難を決断した」と振り返りました。

その後、スロビャンシクはドネツク州の完全掌握を目指すロシア軍による攻撃が激しくなっていて、オロブチェンコさんは帰ることができない状況が続いています。
オロブチェンコさんは「当初は1か月ほど避難すればいいと思っていたが、もうすぐ4か月になる。もちろん帰りたいが、現地はガスも電気も水もない。どこに帰ったらいいのか」と避難生活の長期化に疲れを見せていました。

一方、オロブチェンコさんの娘のオルガ・シュヌルコさん(41)は、今も仕事のためにスロビャンシクに残っていて、23日には電話で「けさ(23日)、近くの山から3回ほど砲撃音が聞こえた。きのうの夕方も近くの町で何度か砲撃があった。数週間前に攻撃を受けた市場にはもう行っていない」として、連日、ロシア軍の攻撃が続いている厳しい状況を伝えていました。
避難民の支援を続けているポルタワのバレリ・ポルホメンコ副市長は「ドンバス地域では戦闘に阻まれ、ロシア軍が掌握した地域からは脱出できずにいる人も大勢いる」と述べて、東部では避難もできない人がいることに懸念していました。