WHO「サル痘」で緊急事態を宣言 “世界中に急速拡大している”

欧米などを中心に報告が相次ぐ「サル痘」についてWHO=世界保健機関は、日本時間の23日夜に記者会見し、感染の拡大が続いているとして「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。WHOは現在、新型コロナウイルスとポリオの感染拡大について緊急事態の宣言を継続していて「サル痘」は3つ目となります。

「サル痘」について、山際新型コロナ対策担当大臣はNHKの日曜討論で「政府として今週早々にも会議を開いて、適切な対応ができるような体制を整えていきたい」と述べました。

WHO テドロス事務局長 “世界中に急速に拡大している”

WHOは今月21日、各国の専門家や保健当局の担当者による緊急の委員会を開催し、欧米などを中心に感染が拡大する「サル痘」の状況について検討しました。
この検討結果を受けて23日、スイスのジュネーブで記者会見したテドロス事務局長は、専門家などの委員会ではさまざまな意見が出され、宣言を出すべきかどうか全会一致の結論には至らなかったものの、サル痘の感染拡大についてはわからないことも多く、世界中に急速に拡大しているなどとして「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言に踏み切ったと述べました。

WHOは現在、新型コロナウイルス、それにポリオの感染拡大について緊急事態の宣言を継続していて「サル痘」は3つ目となります。

WHOによりますとサル痘は、これまでに75の国と地域で1万6000人余りの感染者が確認され5人が亡くなっています。

テドロス事務局長は、適切な対策を講じれば感染拡大は防げると述べ、まだ感染が確認されていない国も含めてウイルスの監視態勢を強化し、さらなる感染拡大を防いでいくべきだと訴えました。

なぜいま?宣言に踏み切った背景は

WHOは先月にも専門家による委員会を招集して、緊急事態を宣言すべきかどうか検討しましたが、見送りました。

その時の感染者の数は、およそ3000人。ところがその後も感染者は増え続けこれまでに75の国と地域で1万6000人余りにのぼっています。

テドロス事務局長は記者会見で、WHOが招集した専門家などによる委員会ではサル痘は一般的に症状が軽いとされ、死者もこれまでに5人となっていて緊急事態宣言を出す必要があると捉えていない専門家もいて全会一致の結論には至らなかったと明らかにしました。

ただサル痘は、感染のしかたなどについてまだわからない点も多い上、急速に広がっているとして、みずからの判断で緊急事態の宣言に踏み切ったとしています。

今後、必要な対応は

会見でテドロス事務局長は欧米などでの今の感染状況について「今回の感染拡大は、男性と性的関係がある男性、特に、複数のパートナーと性的関係を持つ男性の間で集中的に感染者が発生している。これは適切なグループに対して適切な戦略を講じれば、感染拡大を止めることができることを意味する」と述べました。

一方で、サル痘は、密接な接触によって誰もが感染する可能性があり、特定のグループの人たちの病気ととらえずに警戒するべきだとしていてテドロス事務局長は、偏見や差別はウイルスと同じように危険だとしています。

そして各国がとるべき対策として、サル痘が確認されている国では、感染を止める対策の実施や重症化リスクが高い人への対応を求めているほかサル痘が確認されていない国などでも、保健当局が協力して信頼できる検査態勢を構築することなどを求めています。

国内の対応は

厚生労働省によりますと、日本では集計が開始された2003年以降、サル痘の感染は報告されていません。

サル痘は感染症法上、狂犬病などと同じ「4類感染症」に指定され、診断した医師は患者の発生を保健所に届ける必要があります。

サル痘は、現在、欧米だけでなく、日本に近い韓国やシンガポール、タイ、台湾でも感染者が確認されています。

厚生労働省は都道府県などに対し事務連絡を出し、疑わしい患者があれば報告し、指定医療機関への入院体制を確保するよう求めています。

サル痘のウイルスは、水疱に含まれている液体などから新型コロナウイルスと同じようにPCR検査で調べることができることから、国立感染症研究所のほか、各自治体の地方衛生研究所でも検査体制の整備が進められています。

山際新型コロナ対策相「今週早々にも会議 対応確認」

山際新型コロナ対策担当大臣はNHKの日曜討論で「新型コロナウイルス感染症とは全く性質の異なるものなので、一緒にされないように整理する必要がある。そのうえで、政府として今週早々にも会議を開いて、これからの対応方針などを確認しながら適切な対応ができるような体制を整えていきたい」と述べました。