ウクライナ穀物輸出合意 米国務長官「ロシアは着実に履行を」

ロシア軍による封鎖でウクライナ産の小麦などの輸出が滞っている問題で、ロシアとウクライナそれに仲介役のトルコと国連は、輸出再開に向け船を安全に航行させる手順などについて合意しました。
アメリカのブリンケン国務長官は、ロシア側に合意を着実に履行するよう迫る考えを強調し、今後、ロシア側の対応が焦点となります。

ロシア軍による封鎖で黒海に面するウクライナの港から小麦などの輸出が滞っている問題をめぐり、ロシアとウクライナそれに仲介役のトルコと国連は22日、最終的な合意に至り、ロシアとウクライナの代表が、トルコのエルドアン大統領、国連のグテーレス事務総長を介してそれぞれ合意文書に署名し交換しました。

合意では、黒海での輸送の調整に当たる機関をトルコのイスタンブールに設置し、ウクライナ南部の3つの港から農産物を輸出する船舶を安全に航行させ、ウクライナに海上から兵器が運び込まれないよう船舶の検査を行うとしています。

また、船が港を出入りする際には、ウクライナ側が機雷が敷設されていない安全なルートに誘導するとしています。
合意を受けてロシアのラブロフ外相は22日、声明を発表し「世界の市場におけるロシアとウクライナの農産物が占める割合の大きさを考えると、継続的な輸出の確保は、特に途上国のために食料安全保障を維持するという喫緊の課題に応えるものだ」と述べ、今回の合意がロシア産の農産物の輸出再開にも道を開くという考えを示しました。
アメリカのブリンケン国務長官は22日、声明を発表し「ロシアによる戦争がもたらす影響に対処するための、前向きな一歩だ」として合意を歓迎しました。

そのうえで「国際社会はロシアにこの合意の責任を負わせ、ウクライナの農産物が世界の市場に届くようにしなければならない」として、国際社会とともにロシア側に合意を着実に履行するよう迫る考えを強調しました。
また、ウクライナのゼレンスキー大統領も22日「ロシア側が挑発行為をしたり、ウクライナや国際社会の努力をおとしめようとしたりするおそれがあるのは、誰の目にも明らかだ」と述べ、国連などに合意の確実な履行に向けた役割を果たすよう求めていて、今後のロシア側の対応が焦点となります。