ロシア軍 地上攻撃適さない防空ミサイルで標的外れ市民被害か

ウクライナでは、ロシア軍によるミサイル攻撃で連日、市民が犠牲になっていて、イギリス国防省は、地上への攻撃に本来の目的とは違う防空ミサイルが使われているために、標的が外れて市民の被害がさらに広がるおそれがあると指摘しています。

ロシア軍は21日もウクライナ東部への攻撃を続けていて、ウクライナの非常事態庁や現地のメディアによりますと、ドネツク州のクラマトルシクや、ハルキウ州で学校や住宅地などが相次いで砲撃を受け、市民合わせて4人が死亡し、20人以上がけがをしたということです。

ロシア軍の攻撃について、イギリス国防省は22日、地上攻撃用のミサイルが不足していて、代わりに防空ミサイルを攻撃に使用するようになっているという分析を明らかにしました。

攻撃には、航空機などを撃墜する地対空ミサイルシステム「S300」などが使われているとみられ、地上への攻撃には適さないうえ、兵士も訓練をほとんど受けていないため、攻撃の標的が外れて、市民の被害がさらに広がるおそれがあると指摘しています。

一方で、イギリスの対外情報機関「MI6」のムーア長官は21日、「ロシア軍は失速寸前だ。今後、数週間にわたって人員の補充や物資の補給がますます難しくなっていくだろう」と、ロシア軍が苦戦しているという見方を示したうえで、「ロシア軍は休息を必要としていて、それがウクライナに反撃のチャンスを与えるだろう」と述べ、ウクライナ側が反転攻勢に出る可能性を示唆しました。