濃厚接触者の待機期間 5日に短縮で調整 政府 感染急拡大で

新型コロナの感染の急拡大を受け、岸田総理大臣は22日午後、関係閣僚と対応を協議することにしていて、社会経済活動を維持していくため、濃厚接触者に求める自宅などでの待機期間を原則7日から5日に短縮する方向で調整を進めています。

新型コロナの21日の新たな感染者数は東京で初めて3万人を超え、全国で18万人を上回って2日連続でこれまでで最も多くなり、感染の急拡大が続いています。

こうした中、政府は社会経済活動を維持していくため、濃厚接触者に求める自宅などでの待機期間を現在の原則7日から5日に短縮し、さらに2日目と3日目の検査が陰性であれば、3日目に待機を解除できるようにする方向で調整しています。

また、医療のひっ迫を防ぐため症状のある人が発熱外来を受診する前に検査キットでみずから検査できる体制を整えることや、医療機関などへの財政支援を延長すること、それに若い世代にワクチン接種を促す方策などについても検討しています。

岸田総理大臣は、こうした内容について22日午後、後藤厚生労働大臣ら関係閣僚と協議し、方針が固まれば速やかに公表することにしています。

後藤厚生労働相「感染状況の変化踏まえ対応したい」

後藤厚生労働大臣は記者会見で「濃厚接触者の待機期間を決めるにあたっては、前提となる感染状況の数値がある。状況の日々の変化を踏まえ、専門家の意見もうかがって、必要な対応を適宜適切、迅速に検討し、実行していきたい」と述べました。

また「きのうの専門家会合では、直ちに行動制限を行うほどの医療のひっ迫の程度であるという評価はされておらず、可能なかぎり社会経済活動を維持するためにも基本的な感染対策の徹底を呼びかける必要があるという意見が多かった。行動制限を新たに行わないことは、決して対策の手を緩めていいということではない」と述べました。

金子総務相「接種促進 自治体の取り組みを支援」

金子総務大臣は、閣議の後の記者会見で「総務省として都道府県や政令指定都市の幹部に対し、3回目接種に関する広報強化や接種環境の整備、4回目接種の促進などについて働きかけを行っている。自治体の課題など、現場の生の声を聞き、関係省庁にフィードバックすることで、自治体の取り組みをしっかりと支援していく」と述べました。

山際新型コロナ対策相「必要あれば方針変えて対応」

山際新型コロナ対策担当大臣は閣議のあとの記者会見で「現時点では、政府が決めている基本方針にのっとって今のオペレーションを続けていくが、医療提供体制に相当な負荷がかかり、十分な医療サービスを提供できないことが見込めるのに何も対応しないということではない。状況が変われば、当然、政府の方針も柔軟に変わっていくので、必要があればちゅうちょなく方針を変えて対応する」と述べました。

松野官房長官「専門家の意見も踏まえつつ必要な対応検討」

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「病床使用率は地域差が見られるものの総じて上昇傾向にあり、医療提供体制への影響を最大限の警戒感を持って注視している。保健医療体制の確保に万全を期すとともに重症化リスクのある高齢者を守ることに重点を置いてワクチン接種のさらなる促進やメリハリのある感染対策に取り組んでいる」と述べました。

また、濃厚接触者の待機期間の短縮について「濃厚接触者の特定や行動制限、基本的な感染対策の在り方などを、感染状況や科学的知見を踏まえ検討を進めることにしており、感染状況が日々変化している中、専門家の意見も踏まえつつ必要な対応を検討していく」と述べました。

さらに松野官房長官は午後の記者会見で「発熱外来へのアクセスがしづらくなっているという声が聞かれる。配る数は現場の必要に応じて対応するため答えるのは困難だが、できるところは今週末からでも実施できるよう働きかけたい」と述べました。

そして「政府としては、引き続き感染状況や科学的知見などを収集しつつ、『BA.5』への置き換わりを見据え、社会経済活動をできる限り維持しながら、重症化リスクのある高齢者を守る対策に全力を挙げて取り組む」と述べました。

公明 石井幹事長[「しっかりした対策を講じるべき」

公明党の石井幹事長は、記者会見で「今後、多くの地域で感染者数の増加が見込まれ、しっかりした対策を講じるべきだ。症状のある人がみずから検査できる体制を整えることや、医療機関などへの財政支援の延長を検討すること、それにワクチン接種を着実に進めることが必要だ」と述べました。

一方、行動制限のあり方については「専門家も、社会経済活動との両立をいかに図るかが重要だと言っており、当面、行動制限をしないという政府の方針は理解するが、今後の医療状況などもしっかり見守っていく必要がある」と指摘しました。