安倍元首相銃撃事件 容疑者を精神鑑定へ 奈良地検

安倍元総理大臣が奈良市で演説中に銃で撃たれて死亡した事件から22日で2週間です。奈良地方検察庁がこれまでの供述などを踏まえ、容疑者の刑事責任能力を調べる精神鑑定を行う方針を固めたことが捜査関係者への取材でわかりました。

今月8日、奈良市で演説をしていた安倍元総理大臣が銃で撃たれて死亡した事件で、警察は奈良市に住む無職、山上徹也容疑者(41)を逮捕して殺人の疑いで捜査しています。

これまでの調べで、警察は母親が多額の献金をしていた「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会に恨みを募らせた末、事件を起こしたとみています。

団体の総裁をずっと狙っていたものの襲撃の機会がなかったため、団体と安倍元総理大臣が近しい関係にあると思って標的にしたとみられるということです。

容疑者は手製の銃などを準備して事件を計画的に起こしたとみられますが、奈良地方検察庁がこれまでの供述などを踏まえ、刑事責任を問えるかどうか調べる精神鑑定を行う方針を固めたことが捜査関係者への取材でわかりました。

「鑑定留置」を裁判所に請求し認められれば専門家による精神鑑定が行われ、奈良地方検察庁はその結果などを踏まえて起訴するかどうか判断するものとみられます。

爆発物の原料となる化学物質 規制の現状は

今回の事件で山上容疑者は「インターネットなどで購入した材料を混ぜて火薬をつくった」と供述し、自宅からは火薬をつくるために使ったとみられる工具などが押収されています。

爆発物の原料となる化学物質の販売をめぐっては、これまでも対策がとられてきました。

アメリカ同時多発テロ事件のあと2003年には、警察庁が経済産業省などと爆発物の原料となる7品目の化学物質について
▽販売時の本人確認や
▽販売記録の保管
▽不審な場合には販売を差し控えたり、通報したりすることなどを
販売事業者に要請しています。

2008年にはインターネットでの販売についても同様の要請が行われたほか、2009年には「硝酸カリウム」などが加わり11品目に対象が拡大しました。

警察庁によりますと、大量購入などに関する通報は年間、数万件寄せられ、事件の発生を未然に防ぐことができたケースもあった一方で、警察への通報などは販売事業者の裁量に委ねられているのが実情です。
薬品や危険物の安全管理などに詳しい横浜国立大学の先端科学高等研究院の三宅淳巳教授は「化学薬品や化学製品は当然社会のため人のために役立つことを目的につくられているが、それを別の目的に利用するのはあってはならない。しかしこれらを一律に制限するというのも難しいのが現状なので、今後議論が必要になる」と指摘しました。

そのうえで「本人確認や購入目的、量など、販売する側と購入する側の情報を明らかにして流通経路をきちんと追跡できるようにしておくのは一つの方向性だと思う。現状を変えていくのであれば規制という形になるのか、努力義務という形になるのか議論されることになる」と話していました。

警察庁の中村格長官は今月12日の会見で「爆発物の原料となりうる化学物質を入手することを防ぐことが重要だ。今回の事案を受けて強化できるところがあれば、しっかりと検討して実施に移したい」と述べています。