【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(22日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる22日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

英国防省が分析 “ロシア軍は地上攻撃用のミサイルが不足”

ロシア軍の攻撃について、イギリス国防省は22日、地上攻撃用のミサイルが不足していて、代わりに防空ミサイルを攻撃に使用するようになっているという分析を明らかにしました。

攻撃には航空機などを撃墜する地対空ミサイルシステム「S300」などが使われているとみられ、地上への攻撃には適さないうえ兵士も訓練をほとんど受けていないため、攻撃の標的が外れて市民の被害がさらに広がる恐れがあると指摘しています。

ロシア軍が学校を砲撃 1人が死亡

ウクライナの非常事態庁によりますと、21日、東部ドネツク州のクラマトルシクではロシア軍が現地の学校を砲撃し、1人が死亡、2人ががれきの下に取り残されているということです。

また、ウクライナメディアによりますと、東部ハルキウ州でも21日、ロシア軍がバス停や住宅地を砲撃し、市民3人が死亡し23人がけがをするなど、東部で市民が犠牲になる攻撃が相次いでいます。

プーチン大統領 サウジアラビア皇太子と電話会談

ロシア大統領府は21日、プーチン大統領がサウジアラビアのムハンマド皇太子と電話会談したと発表しました。
ロシア大統領府の発表によりますと、双方は経済関係の強化などについて話し合ったとしたうえで「世界の石油市場の現状を詳細に議論した。『OPECプラス』の枠組みでのさらなる協調が重要であり、参加国が世界のエネルギー市場に必要なバランスと安定性を維持するためその義務を果たしていることに満足の意を示した」としています。
サウジアラビアをめぐってはアメリカのバイデン大統領が今月16日に訪問したばかりで、国際的に原油価格が高騰する中、バイデン大統領は産油国の首脳らとの会合で原油の増産を呼びかけましたが、サウジアラビア側はその場では応じませんでした。
来月上旬に開かれる予定のサウジアラビアやロシアなど主な産油国でつくる「OPECプラス」の会合で増産をめぐる判断が示されるとみられていて、プーチン大統領は今回の電話会談で「OPECプラス」の重要性を強調し、ロシアの存在感を示すねらいもあるとみられます。

ロシア軍 攻撃継続も“意味ある前進みられない”

ロシア国防省は21日、ウクライナ南部のオデーサ州で今月16日に行った空爆でウクライナ側の兵士600人以上を殺害したと発表するなど攻撃を続けています。

一方、ロシア軍が掌握を目指すウクライナ東部ドネツク州について、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は20日「ロシア軍は短期間の作戦休止のあと活発な地上攻撃を再開したが、意味のある前進がみられない」として戦況はこう着していると分析しました。

ロシア外相 ハンガリーへのガス供給拡大に意欲示す

ロシアのラブロフ外相は21日、モスクワを訪問したハンガリーのシーヤールトー外相と会談しました。
会談後の記者会見でラブロフ外相は「ハンガリーから追加で天然ガスを購入したいという要望があり検討する。われわれの協力はアメリカやEUによる反ロシア的な政策で妨げられているが、解決策を見いだす」と述べ、欧米の制裁を批判する一方、ハンガリーにはガスの供給拡大に意欲を示しました。
これに対しシーヤールトー外相は「現実は現実だ。ロシアのガスが無ければ、他で購入することは不可能だ」と訴えました。
ロシア産の天然ガスをめぐっては、点検を理由にガスの供給が停止されていたロシアからドイツへのパイプラインについて21日、供給を再開する一方、供給量は通常時よりおよそ60%削減された状況でドイツではロシア側の今後の出方を警戒しています。
ハンガリーはロシアとエネルギー面などで関係が深く、EU内でもロシアへの制裁措置にたびたび反対の立場を示すなど友好関係にあり、ロシアとしてはEU内の結束に揺さぶりをかけるねらいもあるとみられます。

小麦など輸出停滞 ウクライナ外務省報道官がコメント発表

ウクライナの港から小麦などの輸出が滞っている問題をめぐってトルコで行われる交渉について、ウクライナ外務省のニコレンコ報道官は21日、コメントを発表しました。
この中でニコレンコ報道官は「国連の支援を受けて行われる穀物輸出の再開に関する交渉は7月22日にトルコで予定されている」としたうえで「交渉のあと文書への署名が行われる可能性があり、そこには黒海の輸出ルートの安全な運用に関する当事者の義務も含まれるだろう」としています。
そのうえで「ウクライナ代表団が支持するのはウクライナ南部の安全や黒海におけるウクライナ軍の強力な地位、それに世界の市場への農産物の安全な輸出について保障する決定のみだ」としています。

トルコ大統領首席顧問「22日に穀物輸出の署名式」

トルコのカルン大統領首席顧問は21日、ツイッターに「世界の食料安全保障に重要な穀物輸出の署名式は22日、イスタンブールで国連のグテーレス事務総長とロシア、ウクライナの代表団が参加してエルドアン大統領が主催する」と投稿し、協議は大詰めを迎えているとみられます。
これに先立ちトルコのチャウシュオール外相は21日、トルコの国営放送のインタビューに応え「関係者と緊密にやり取りを続けていて数日中にもいいニュースが出せると期待している。ロシアとウクライナが穀物の輸出で合意できれば停戦交渉にも希望が生まれる」として前向きな見方を示しています。

国連事務総長 21日からトルコ訪問

国連の副報道官は会見で、グテーレス事務総長が21日からトルコのイスタンブールを訪問すると発表しました。事務総長の訪問について副報道官はウクライナとロシアの穀物などの輸出実現に向けた仲介の取り組みの一環だと説明しました。
一方で記者団がグテーレス事務総長はさらに交渉を続けるのか、それとも合意文書にサインするのかと質問すると、副報道官は「状況はやや流動的なため、いつ、どのような署名が行われるのかは現段階では言えない」と述べるにとどまりました。

英 対外情報機関長官「ロシア軍は失速寸前だ」

イギリスの対外情報機関「MI6」のムーア長官は21日、アメリカの西部コロラド州で開かれたシンクタンクの会合に出席し、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について戦況を分析しました。
この中でムーア長官は「ロシア軍は失速寸前だ。今後、数週間にわたってロシア軍は人員の補充や物資の補給がますます難しくなって行くのを感じるだろう」と述べ、ウクライナ軍の反撃が続く中、ロシア軍が補給面で問題を抱え進軍が鈍っているという見方を示しました。そのうえでムーア長官は「ロシア軍は何らかの形で休息を必要としていて、それはウクライナに反撃のチャンスを与えるだろう。ヨーロッパ諸国に対し、これが勝てる戦いなのだと思い起こさせるうえでも、それは重要なことだ」と述べ、ウクライナにとっては戦況を変える機会が来るとの認識を示しました。