ロシア政府系ガス会社 ドイツへ供給再開も通常時の約60%削減

点検を理由に、天然ガスの供給が停止されていたロシアからドイツへのパイプラインについて、ロシア側は21日、供給を再開したことを明らかにしました。ただ、供給量は点検前と同じ、通常時よりおよそ60%削減された状況で、ドイツでは、ロシア側の今後の出方を警戒しています。

ロシアとドイツを結ぶ海底のパイプライン「ノルドストリーム」を巡っては、運営するロシアの政府系ガス会社ガスプロムが、定期点検を理由に、今月11日から天然ガスの供給を停止しました。

ドイツでは、ロシア側が経済制裁への対抗として、ガスの供給を再開しないのではないかとの懸念が広がっていました。

こうした中、点検の期限である21日、ガスプロムが出資するパイプラインの運営会社は、天然ガスの供給を再開したことを明らかにしました。

ただ、ドイツのエネルギー規制当局、連邦ネットワーク庁のミュラー長官は、ツイッターで、21日の供給量は点検前と同じ、通常時よりおよそ60%削減された状況で、全面的な再開にはならないとの見通しを明らかにしました。

ドイツでは、ロシアからの天然ガスの減少で、暖房で消費が増える冬に十分な量が確保できるのかなど、エネルギー不足への懸念が強く、ロシア側の今後の出方を警戒しています。

ロシア大統領府報道官「EU側の非難 受け入れられない」

これについてロシア大統領府のペスコフ報道官は21日、報道陣に対し、ガスプロムは義務を果たす用意があるとする一方で「天然ガス供給に関する技術的な問題は、EU側の制限によるものだ」と述べました。

またペスコフ報道官は「EU側はロシアが政治的な圧力や恐喝のために天然ガス供給を利用していると非難している。しかしこれは全くの事実ではなく断固として受け入れられない」として、ロシア側に責任を転嫁するべきではないと反論しました。

独 経済・気候保護相「ロシアはエネルギー武器に恐喝」

ドイツでエネルギー政策を担当するハーベック経済・気候保護相は21日、オンラインで会見し、パイプラインによるロシアからの天然ガスの供給が再開されたものの通常時より供給量がおよそ60%削減された状況にとどまっているとして、消費が増える冬に向けてガスの節約の重要性を改めて訴えました。

そのうえで「ロシアはヨーロッパへのエネルギーの供給を保証する立場だという主張をしているが、それは事実のわい曲だ。それどころかエネルギーを武器にドイツ、ヨーロッパを恐喝している」と述べ、ロシアを厳しく批判しました。