東京都 コロナで医療提供体制ひっ迫 最も深刻な警戒レベルに

東京都内で新型コロナウイルスの感染の急拡大が続く中、都のモニタリング会議で専門家は都内の医療提供体制について、検査が受けにくくなるなど「ひっ迫している」として、警戒レベルを最も深刻なレベルに引き上げました。感染状況もすでに先週、最も深刻な警戒レベルに引き上げられていて、両方がこのレベルになるのはことし3月以来です。

東京都は、都内の感染状況と医療提供体制について専門家が分析・評価するモニタリング会議を開きました。

専門家は、このうち感染状況の警戒レベルを最も深刻なレベルで維持し、「大規模な感染拡大が継続している」と分析しました。

新規陽性者の7日間平均は、大幅に増加して20日時点では1万6549人と第6波のピークに近づいていて、専門家は「危機的な感染状況が続いている」と指摘しました。

また、今の増加のペースが続けば、今月27日時点の7日間平均は2万7140人となり、第6波のピークを大きく超えるとする予測が示されました。

専門家は「これまでに経験したことのない爆発的な感染状況になる」と述べ、強い危機感を示しました。

一方、医療提供体制について専門家は「ひっ迫している」と分析し、警戒レベルを先週から1段引き上げて最も深刻なレベルとしました。

“都民の約100人に1人が入院 宿泊 自宅のいずれかで療養”

新規陽性者の急増で現在、都民のおよそ100人に1人が、入院、宿泊、自宅のいずれかで療養していると説明しています。

また、検査の陽性率も急速に上昇し、20日時点で42.9%と、第6波のピークを上回り過去最高値になっていることが報告されました。

専門家は「医療機関に検査や受診の相談が集中するなどして検査が受けにくくなっている」として、症状がある人や濃厚接触者など検査が必要な人が速やかに受けられよう体制を確保する必要があると指摘しました。

さらに、救急医療体制に影響が出ていて、搬送先が見つからず時間がかかるケースが増加しているとしています。

また、都の「入院調整本部」が入院先を探すよう求められる件数も増えていて、別の病気がある人や高齢者の入院調整が難航し、翌日に持ち越されるケースも出ているとしています。

土日の診療や検査体制を強化 診療実績に応じて協力金支給へ

東京都は、感染拡大を受けて休診が多くなる土日の診療や検査体制を強化するため、診療実績に応じて医療機関に協力金を支給することになりました。

協力金は、診療した実績に応じて患者1人当たり4300円で、23日の診療分から適用されます。

さらに、お盆期間で休診が増えると予想される8月11日から16日の間も、診療できる体制を整えた医療機関に協力金を支給し、診療体制を確保したいとしています。

このほか、無症状や軽症の人で基礎疾患のある家族がいて隔離が必要な人などを対象に7月27日から立川市の宿泊療養施設の運用を始めることになりました。