“屋外で会話ない場合マスク外して” 政府熱中症対策検討会議

政府の熱中症対策の検討会議が開かれ、今後も猛暑が見込まれることから、エアコンをちゅうちょなく使い、屋外で会話がない場面ではマスクを外すよう呼びかけていくことで一致しました。

21日の会議はオンラインで行われ、関係する省庁から現状が報告されました。

このうち総務省消防庁は、ことし熱中症で搬送された人が今月17日までに全国で3万4000人近くに上り、この4年間で最も速いペースで増えていることを明らかにしました。

また、気象庁からは8月と9月の平均気温が東日本と西日本で平年より高く、北日本と沖縄・奄美で平年並みか高い見込みとなっていることが説明されました。

一方、電力については、経済産業省から安定供給に必要となる水準を確保できる見通しだと報告され、政府として、無理な節電をせず、エアコンをちゅうちょなく適切に使用することや、屋外では2メートル以内の距離で会話するとき以外は、マスクを外すよう呼びかけることで一致しました。

会議で山口環境大臣は「ヨーロッパ各地でも気温が40度を超えるなど、気候変動の影響がはっきりと見えてきている。地域や学校の現場で適切な対策が取られるよう働きかけをお願いしたい」と述べました。

「子どもたちは状況に応じてマスク外して」母親団体

子どもがいる母親などで作る団体が都内で会見を開き、子どもたちが熱中症にならないように状況に応じてマスクを適切に外すよう呼びかけました。

呼びかけを行ったのは、子どもがいる親などで作る「ママ※エンジェルス首都圏チーム」のメンバーで、20日都内で会見を開きました。

この中で、学校などでほかの人と十分な距離が確保できている時などでも子どもたちの中には「周りがマスクを着けているので外せない」とか「運動会などで『外してよい』と言われても恥ずかしいから外さない」といったケースがあるという保護者の声が紹介されました。

団体では、子どもが熱中症にならないようにほかの人との距離が保てる場合などは状況に応じてマスクを適切に外すよう呼びかけました。

「ママ※エンジェルス首都圏チーム」の代表の吉田久美子さんは「夏休みは保護者が子どもと過ごす時間が長くなると思うので、気温や湿度、子どもの状態によって臨機応変に子どもを導いてあげて、子どもたちがマスクを外していい場面でちゃんと外せるような環境作りが大事だと思います」と話していました。

※の部分はハート

東京都 夏休み 子ども向けチェックリスト

東京都は、感染症と熱中症に注意して夏休みを過ごしてもらうための子ども向けのチェックリストを作成しました。

チェックリストでは、マスクの着用について熱中症になる危険が高まるとして、屋外で周りに人がいないときや、屋内でも人と会話せず読書などをするときは外すことを呼びかけています。

一方で、感染症対策として、外出するときには電車やバスなどの公共交通機関や混雑した場所でのマスクの着用徹底などを呼びかけています。

さらに、毎日体温を測り、のどの痛みやせきなどがないか確かめること、外から帰ったら手洗いをすることなど、基本的な対策の継続も大切だとしています。

専門家「子どものサインが大切」

国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は子どもの感染対策について「夏休みは旅行やイベントなど出かける機会が多くなるだろうが、今のような感染状況だと、出かけた先で周りの誰かは感染者の可能性がある。家族以外のふだん会わない人たちと集まっての会話や接触は慎重になってほしい。一方で、周囲に人がいないオープンスペースでならマスクを外して、熱中症リスクを減らすことも重要な判断だ」と話しました。

そのうえで「子どもは遊んでいて体力が落ちることもある。ふだんより食欲がなかったり、だるそうだったり、子どもの小さなサインを親が見逃さないことが大切だ。また、ワクチン接種をしていない場合は今の感染の流行を考えて、接種のうえで夏休みを迎えるということも改めて検討してみてほしい」としています。

また「プール熱や手足口病などコロナ以外の感染症も広がっていて、小児科の外来が非常にひっ迫している。子どもの体調が悪くても、すぐに受診できない場合があると理解したうえで、かかりつけ医や相談窓口に問い合わせるなど、早め早めに対応することが大事だ」と述べました。