ロシア ウクライナ南部の掌握も視野 米はハイマース追加供与へ

ロシア軍は東部や南部で激しい攻撃を続けていて、ラブロフ外相は東部2州にとどまらず南部など周辺地域の掌握も視野に入れていることを明らかにしました。
一方、アメリカは、射程が長く精密な攻撃が可能な高機動ロケット砲システムを追加で供与する方針を明らかにし、ウクライナ軍が欧米からの軍事支援を受けて反転攻勢に出られるかが焦点です。

ロシア国防省は20日、東部ドネツク州の武器庫などをミサイルで攻撃したほか、南部オデーサ州ではアメリカの対艦ミサイル「ハープーン」を破壊したと発表しました。

ロシアのラブロフ外相は20日、国営通信社が伝えたインタビューで「今や地理的な目標は変わった。ドンバス地域だけでなく、ヘルソン州やザポリージャ州、さらにほかの地域も含まれる」と述べ東部2州にとどまらず、南部や南東部など周辺地域の掌握も視野に入れていることを明らかにしました。

ラブロフ外相の発言は支配地域の目標を拡大するもので、東部2州以外への攻撃も正当化するとともに、掌握した地域を将来、一方的にロシアに併合することも視野に入れ、南部などで「ロシア化」を進めたい思惑もあるとみられます。
一方、アメリカのオースティン国防長官は20日、ウクライナに高機動ロケット砲システム=ハイマースを追加で4基供与する方針を明らかにしました。

ハイマースは射程が長く精密な攻撃が可能とされる兵器で、アメリカはすでに12基を供与し、ウクライナ軍はロシア軍の弾薬や物資の供給網のほか指揮所など軍事拠点に対する攻撃に使っています。

オースティン長官は、記者会見で「ウクライナには砲撃に耐え反撃するための火力が必要で、支援の勢いを維持し強化するために、われわれは力強く後押ししていく」と強調しました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は20日に公開した動画で、ハイマースなどの追加供与を歓迎したうえで、「ウクライナへの近代的な兵器の供給を増やし、有効な防空手段を提供することが必要だ」と述べていて、ウクライナ軍が欧米からの軍事支援を受けて反転攻勢に出られるかが焦点です。