ウクライナ軍 ロシア軍補給路の橋攻撃 ロシアは支配目標拡大か

ウクライナ軍は、南部ヘルソン州でロシア軍が支配する、要衝の橋を攻撃するなど、ロシアに支配された地域の奪還を目指して反撃を続けています。
一方、ロシアのラブロフ外相は、東部2州にとどまらず南部など周辺地域の掌握も視野に入れていることを明らかにし、「ロシア化」を進めたい思惑もあるとみられます。

ロシア国防省は20日、東部ドネツク州の武器庫などをミサイルで攻撃したほか、南部オデーサ州ではアメリカの対艦ミサイル「ハープーン」を破壊したと発表しました。

一方、ウクライナ軍はロシア側が掌握したと主張する南部ヘルソン州などで反撃を続けています。

ヘルソン州の親ロシア派勢力の幹部は、ロシアのメディアに対し、ウクライナを縦断するドニプロ川にかかる要衝の橋が、ウクライナ側に攻撃されたと明らかにしました。

親ロシア派勢力は、橋の攻撃に、アメリカが供与した高機動ロケット砲システム=ハイマースが使われたと主張した上で、「被害は深刻だ」としています。

イギリス国防省は20日、この橋は、ロシア軍が物資を補給し、部隊を移動させるために必要なルートだったと指摘し、ドニプロ川を渡る手段をめぐる攻防が、今後の南部の戦況をうらなう重要な要素になると分析しています。

こうしたなか、ロシアのラブロフ外相は、20日国営通信社が伝えたインタビューで「今や地理的な目標は変わった。ドンバス地域だけでなく、ヘルソン州やザポリージャ州、さらにほかの地域も含まれる」と述べ、東部2州にとどまらず、南部や南東部など周辺地域の掌握も視野に入れていることを明らかにしました。

また「欧米側はウクライナに射程の長い兵器を供与し、状況を悪化させている。地理的な目標は、今後さらに広がるだろう」と述べ、ウクライナへの軍事支援を強める欧米をけん制しました。

プーチン政権はこれまで、ロシア系住民の保護を名目として東部2州の掌握を作戦目標に掲げてきましたが、ラブロフ外相の発言は、支配地域の目標を拡大するもので、東部2州以外への攻撃も正当化するとともに、掌握した地域を将来、一方的にロシアに併合することも視野に入れ、南部などで「ロシア化」を進めたい思惑もあるとみられます。