ロシア プーチン大統領 小麦輸出停滞 事態打開に取り組む姿勢

ロシアのプーチン大統領はトルコのエルドアン大統領と会談し、ロシア軍による封鎖で黒海に面するウクライナの港から小麦などの輸出が滞っている問題をめぐり、事態の打開に向けて取り組む姿勢を示しました。一方でロシア軍はウクライナ東部ドネツク州で、集合住宅や弾薬庫にミサイル攻撃を行うなど攻勢を強めています。

ロシアのプーチン大統領は19日イランの首都テヘランを訪問し、同じくテヘランを訪れたトルコのエルドアン大統領と、ウクライナへの軍事侵攻後初めて対面で会談しました。

会談の冒頭プーチン大統領は、ロシア軍による黒海の封鎖でウクライナ産の小麦などの輸出が滞っている問題について「トルコの仲介の努力に感謝したい。われわれは前進した。すべての問題が解決したわけではないが事態が動くことはよいことだ」と述べ、事態の打開に向けて取り組む姿勢を示しました。

この問題をめぐっては、ロシアとウクライナ、それに仲介役のトルコと国連を交えた4者が今週にも大詰めの交渉を行う見通しです。

世界的に食料価格が高騰する中、今回の会談がウクライナからの小麦などの輸出の再開につながるかどうか、今後のロシアの対応が焦点となります。

一方ウクライナ東部ドネツク州の知事は19日、クラマトルシク中心部で集合住宅がロシア軍のミサイル攻撃を受け、少なくとも1人が死亡し6人がけがをしたとSNSに投稿しました。

またロシア軍は、ドネツク州でミサイル攻撃によって装甲車や弾薬庫を破壊したと発表し、今後州全域の掌握に向け、地上作戦を本格化させるとみられています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は18日の分析で、ロシア軍がドネツク州内で、まずはウクライナ側が拠点としているスロビャンシクの周辺の町から徐々に攻勢を強めるという見方を示しています。

プーチン大統領 “エネルギー価格の高騰 欧米側に責任”

ロシアのプーチン大統領はイランでの一連の会談を終えたあと、ロシアメディアなどとの個別会見に応じ、ドイツに天然ガスを送る主要なパイプライン「ノルドストリーム」について言及しました。

「ノルドストリーム」を運営するロシアの政府系ガス会社ガスプロムは、定期点検を理由に今月11日からガスの供給を停止していますが、ロシア側が点検が終わる予定の21日以降も、経済制裁を科すドイツに対し揺さぶりをかけるため、供給を再開しないのではないかという懸念が出ています。

プーチン大統領は、供給を再開するかどうかについて明言しませんでしたが「われわれのパートナーが、自分たちの失敗の責任をロシアやガスプロムに押しつけようとしているが、全く根拠がない。ガスプロムは常にすべての義務を果たしてきたし、今後もそうし続けるだろう」と述べ、エネルギー価格の高騰などは欧米側に責任があると批判しました。

そのうえで「最近、ロシア産の石油の量と価格を制限しようとするばかげた話を耳にするが、ガスと同じことになる。価格が高騰するだけだ」と述べ、欧米側のさらなる経済制裁をけん制しました。

また、プーチン大統領は現在のエネルギー危機を解決するためには、ウクライナ情勢を受け、ドイツが計画を停止した新たなパイプライン「ノルドストリーム2」を稼働させる必要性にも言及し、欧米側に揺さぶりをかけるねらいがあると見られます。