プーチン大統領 “小麦輸出協力もロシアの輸出 制限解除必要”

ロシアのプーチン大統領は訪問先のイランでトルコのエルドアン大統領と会談し、ロシア軍による封鎖で黒海に面するウクライナの港から小麦などの輸出が滞っている問題をめぐり事態の打開に取り組む姿勢を示しました。
ただその後の会見では、ロシアの穀物輸出に関する制限措置の解除も必要だと主張していて、今後のロシアの対応が焦点となります。

ロシアのプーチン大統領は19日、訪問先のイランの首都テヘランでトルコのエルドアン大統領とウクライナへの軍事侵攻後、初めて対面で会談しました。

会談の冒頭、プーチン大統領は、ロシア軍による黒海の封鎖でウクライナ産の小麦などの輸出が滞っている問題について「われわれは前進した。すべての問題が解決したわけではないが、事態が動くことはよいことだ」と述べ、事態の打開に取り組む姿勢を示しました。

ただ、その後に行ったロシアメディアなどとの個別会見でプーチン大統領は「輸出再開に協力するが、ロシア産の穀物の輸出に関するすべての制限措置が解除されることも必要だ。国際機関との交渉ではパッケージにしていて、アメリカを含め、今のところ誰も反対していない。近い将来どうなるか見てみよう」と述べました。

ウクライナ産の小麦などの輸出の問題をめぐってはロシアとウクライナ、それに仲介役のトルコと国連を交えた4者が今週にも大詰めの交渉を行う見通しです。

これを前に欧米によるロシアへの制裁の解除を求める姿勢を改めて示した形で、世界的に食料価格が高騰する中、ウクライナからの小麦などの輸出の再開につながるかどうか、今後のロシアの対応が焦点となります。

シリア内戦では立場の違い

今回のロシア、イラン、トルコの3か国の首脳会談では、内戦が続くシリアをめぐっても意見が交わされました。

この中で、トルコのエルドアン大統領は「テロ組織をシリアから一掃すべきだ。ロシアとイランにも支持してほしい」と述べ、シリア北部のクルド人武装組織に対してトルコが軍事作戦を行う計画を容認するよう求めました。

これに対し、イランのライシ大統領は「シリアの運命は外国の介入なしに、シリア国民が決める必要がある。軍事的措置は状況を深刻にする」と述べて、政治的解決を訴えました。

また、プーチン大統領も「この地域を安定化させ、正当なシリア政府の支配下に戻すために、3か国協議の場でさらなる措置を講じることが望まれる」と述べるにとどまり、シリア内戦をめぐるトルコと両国の立場の違いが浮き彫りになった形です。