ロシア国防相 作戦強化指示 ドネツク州完全掌握へ地上作戦か

ウクライナの東部ドネツク州で一進一退の攻防が続く中、ロシアのショイグ国防相は軍事作戦の強化を指示しました。
ロシア軍が部隊の再編を終わらせ、ドネツク州の完全掌握に向けて再び、本格的な地上作戦に乗り出すのではないかという見方が出ています。

ロシア国防省は16日、各地をミサイルで攻撃し、東部ドネツク州では、ウクライナ側の拠点の1つ、シベルシクを空爆するなどして、2日間で600人以上のウクライナ兵を殺害したと発表しました。

また16日には、ショイグ国防相が軍事作戦に関わる前線を視察したと発表し、ショイグ国防相は「ウクライナ側の攻撃からロシア側の市民を守る」と主張したうえで、作戦の強化を指示したということです。

ロシア軍は、激しい戦闘の末、今月3日、東部ルハンシク州の掌握を宣言したものの、その後は、兵士の休息や、補充など部隊の再編を優先させ、次の本格的な地上作戦に向け準備を進めてきたとみられていました。

これについて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は16日までの分析で「ロシア軍は作戦の休止状態を終わらせつつある。ショイグ国防相の発言や最近のロシア軍の戦況がそれを裏付けている」と指摘しました。

そのうえで、ロシア軍の地上部隊が、ルハンシク州に隣接するドネツク州の掌握に焦点をあて、再び、攻勢を強めるという見方を示しました。

これに対してウクライナ軍は、高機動ロケット砲システム=ハイマースなど欧米から供与された兵器を活用して、ロシア軍を迎え撃つ構えで、ウクライナ軍の報道官は16日、「ロシア軍は明らかに攻撃作戦の新たな段階に向けた準備を行っている」と警戒感を示しました。

イギリス国防省は17日の分析で「ロシア軍は、南部の支配地域で防衛態勢を強化している。ウクライナ軍は、南部ヘルソン州では1か月以上、ロシア側に圧力をかけ続けてきた」と指摘しました。

そして、ショイグ国防相が作戦の強化を指示した背景には、ウクライナ軍の攻撃に対応するねらいもあったとしたうえで、南部で攻勢に転じるウクライナ軍は、ロシア軍にとって深刻な脅威になっていると分析しています。