G20閉幕 共同声明まとめられず ロシアとの対立深まる中で

インドネシアで開かれていたG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議は16日閉幕しました。世界的なインフレへの対応などを議論しましたが、ウクライナ情勢をめぐる欧米各国とロシアとの対立が深まる中、共同声明をまとめられませんでした。

インドネシアのバリ島で15日から始まったG20の財務相・中央銀行総裁会議には日本から鈴木財務大臣と日銀の黒田総裁が出席し、世界的なインフレへの対応などをテーマに議論を行いました。

16日に会議は閉幕し、鈴木大臣は記者団に対して共同声明をまとめられなかったことを明らかにし「国際秩序の根幹を揺るがす侵略行為を続けるロシアが参加をする中で、すべての国が合意可能な共同声明に至らなかったということだと理解している」と述べました。

これまでの議論で日本や欧米各国はロシアによるウクライナ侵攻によって世界経済が困難に直面しているなどとしてロシアを厳しく非難したのに対し、ロシアはインフレの原因は欧米各国の経済制裁にあるなどと主張し、対立が深まっていました。

G20の財務相会議は前回、4月も共同声明が採択されず、世界経済の課題に対して協調した姿勢を示すことができない状況が続いています。

鈴木財務相「ロシアに圧力かけ続ける必要」

鈴木財務大臣は「ロシアの侵略戦争によって世界経済は多くの困難に直面しているが多くの国が食料危機などの課題に対処するため尽力している。日本をはじめ国際社会がロシアに圧力をかけ続ける必要がある」と述べ、G20の機能を取り戻すためにも国際社会が連携してロシアへの圧力を続ける必要があると強調しました。

また、外国為替市場で円安が加速していることを踏まえ「欧米などで金融引き締めが進む中、金融市場に及ぼす影響にも注意が必要だ。為替市場では急激な変動が見られており、高い緊張感を持って市場動向を注視する必要がある」と述べました。

価格上昇が加速 通貨安でさらなるインフレ懸念も

ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、世界各地でエネルギーや食料の価格上昇が加速したこともあり、記録的なインフレが起きています。

先月の消費者物価の伸び率はアメリカで9.1%と40年半ぶりの水準、ユーロ圏で8.6%と過去最大を更新しました。

先進国だけではありません。新興国でもインフレは深刻な状況となっています。OECD=経済協力開発機構のまとめによりますと、ことし5月の消費者物価の上昇率は、トルコで73%、アルゼンチンで60%、ブラジルでも11%などとなり、アルゼンチンでは物価の急激な上昇に不満を持つ市民が抗議活動を行いました。

新興国ではさらに通貨安が急速に進んでいる国もあります。

G20のメンバーの中でも、インドのルピーはドルに対してことしはじめと比べて7%余り値下がりし、過去最安値となったほか、韓国のウォンはことしはじめと比べて11%余り値下がりし、およそ13年ぶりのウォン安となっています。

通貨安によって輸入品の価格が上昇し、さらにインフレを招く事態となっているほか、今後は大規模な資金の流出が起きないかという懸念もあります。