【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(16日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる16日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

4歳の女の子 ミサイル攻撃で死亡

ウクライナの公共放送は、14日の西部ビンニツァ州の中心部へのロシア軍によるミサイル攻撃で亡くなった幼い女の子について、詳しく伝えています。それによりますと、死亡したのは4歳のリザちゃんで、ダウン症で、生後6か月のときに心臓の手術も受けたということです。

ミサイル攻撃を受けたのは母親のイリーナさんに連れられてセラピーを受けた帰りで、リザちゃんはその場で死亡し、母親も大けがをして病院で治療を受けているということです。

ウクライナの公共放送の取材に対し、リザちゃんの祖母のラリサさんは「リザは賢くとても美しく、愛さずにはいられない子でした。敵は私のもっとも大切なものを奪ってしまった」と悲しみをあらわにしていました。

また、母親のイリーナさんにはリザちゃんが亡くなったことをまだ伝えていないとしたうえで「イリーナにとってリザは人生そのものでした。イリーナはリザに『将来、世界中に連れて行ってあげる。あなたはいちばん幸せな子になる』と話していました。リザを失った悲しみを彼女はどう乗り越えていけるのでしょうか」と、ことばを詰まらせながら話していました。

米国防総省 “ここ1、2週間に100人~150人の民間人犠牲に”

アメリカ国防総省の高官は15日、戦況の分析について明らかにしました。
それによりますと、この高官は、ウクライナ西部のビンニツァ州で14日、ロシア軍のミサイル攻撃で多くの民間人が殺害されたと指摘しました。

そのうえで、ロシア軍の攻撃によってウクライナ国内でここ1週間から2週間の間に、100人から150人の民間人が犠牲になったという見方を明らかにしました。

また、ウクライナ東部の戦闘についてはロシア軍はウクライナ側の抵抗に阻まれ、前進は限定的だとして東部ドネツク州でウクライナ軍が拠点とするスロビャンシクへの侵攻はまだできていないと分析しています。

また、この高官はウクライナ軍がアメリカが供与した高機動ロケット砲システム=ハイマースで、ロシア軍の弾薬や物資の供給網のほか指揮系統の拠点を攻撃しているとしたうえで「ロシア軍の作戦遂行能力に直接影響を与えている」と述べました。

G20財相会議 欧米とロシア対立

インドネシアのバリ島で開かれているG20の財務相・中央銀行総裁会議は16日、2日目の議論を行います。

その後、共同声明を取りまとめて協調をアピールするのが通例です。

初日の15日は世界的なインフレへの対応などについて議論しましたが、この中で欧米各国や日本とロシアとで主張が対立したことが明らかになりました。

出席した鈴木財務大臣は15日、記者団に対し、ロシアによるウクライナ侵攻によって世界経済が困難に直面しているなどとしてG7各国とともにロシアを厳しく非難したことを明らかにしました。

これに対しロシアはインフレの要因は欧米各国による経済制裁にあるとこれまでの主張を続けたということです。

ロシア国防省 黒海に食糧輸送ルート “関係国と協議大詰め”

ロシア軍による封鎖で、黒海に面するウクライナ南部の港からの小麦などの輸出が滞っている問題で、ロシアとウクライナは、仲介役のトルコと国連を交えて、来週、再び協議を行う予定です。

これについて、ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は15日「ロシアは、外国に食料を輸送する手段を確保するとともに、輸送ルートが、ウクライナへの兵器供与に利用されないようにすることを提案した」と述べました。

そして「ロシアの提案は大部分が支持されていて、合意文書の起草作業はまもなく完了する」と述べ、食料を輸送するルートを黒海に確保する方向で、関係国との協議が大詰めを迎えていると明らかにしました。

来週19日には、トルコのエルドアン大統領も、ロシアのプーチン大統領と会談して直接、働きかける見通しで、国際的に食料危機への懸念が強まる中、ウクライナの小麦などの輸出再開につながるか、注目されます。

アメリカ国務省 年次報告書 ロシアの戦争犯罪を非難

アメリカ国務省は15日、残虐行為の防止などを目的とした議会向けの年次報告書を公表しました。

この中で、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアについて「ロシア軍の兵士たちが戦争犯罪を行っていると見ている。ウクライナの人たちの両手を縛って殺害したり、ロシアやベラルーシへ強制的に移送したりしているという信頼できる報告がある」として厳しく非難しています。

イラン “ロシアに無人航空機供与”の見方を否定

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対し、イランが無人航空機を供与する準備をしているという見方をアメリカ政府が示していることについて、イラン側は「根拠のない主張だ」と否定しました。

アメリカ政府は11日、イランがロシアに対し、武器を搭載できるものを含めた数百機の無人航空機を供与する準備をしていることを示唆する情報を得たと、明らかにしました。

これに対し、15日、イラン外務省は、アブドラヒアン外相がウクライナのクレバ外相と電話で会談し、アメリカの見解について「根拠のない主張だと否定した」と発表しました。

その上で、アブドラヒアン外相は「われわれは戦争に反対し、この争いを継続させたり、激化させたりするいかなる措置にも反対する」と述べたということです。

その一方で、イラン政府はこれまでも「NATO=北大西洋条約機構の拡大姿勢は地域の深刻な脅威だ」として、軍事侵攻に踏み切ったロシアの立場にも一定の理解を示しています。

また、イラン国営テレビは15日、インド洋で無人航空機を運用する海軍の部隊だとする艦船や潜水艦から、実際に無人機が飛び立つ映像を公開し、その軍事的能力を誇示しています。

ロシア外務省が報復措置 日本の衆議院議員384人を入国禁止に

ロシア外務省は15日、日本の衆議院議員384人について、ロシアへの入国を禁止する措置をとったと発表しました。

ロシア外務省は、日本政府がことし4月にロシア議会の議員に対してとった制裁に対する報復措置だとしていて、「ウクライナでの軍事作戦に関連してロシアに対し根拠のない非難を行うなど、反ロシア的で非友好的な立場をとる議員を対象にした」としています。

ロシアはすでにことし5月、岸田総理大臣や林外務大臣をはじめ政府関係者などあわせて63人について、ロシアへの入国を禁止する措置をとっています。