経済危機で抗議激化のスリランカ 国外脱出した大統領が辞任

経済危機が続くスリランカで抗議活動が激しさを増す中、国外に脱出したラジャパクサ大統領は正式に辞任しました。これにより、10年以上実権を握ってきたラジャパクサ一族による政権が崩壊しましたが、権力がスムーズに移行されるかは予断を許さない情勢で、混乱がさらに続く可能性もあります。

経済危機が続くスリランカのラジャパクサ大統領は当初、13日に辞任する意向を示していましたが、辞任しないままモルディブに脱出し14日、シンガポールに到着しました。

その後、ラジャパクサ大統領はシンガポールから議長に辞表を提出していましたが、15日、記者会見した議長は辞表を正式に受理したと発表し、大統領が正式に辞任しました。

また、ウィクラマシンハ首相が大統領代行を務め、7日以内にも議会で新たな大統領が選出される見通しを示しました。

大統領の辞任により、10年以上実権を握ってきたラジャパクサ一族による政権が崩壊しましたが、権力がスムーズに移行されるかは予断を許さない情勢で、混乱がさらに続く可能性もあります。

来週にも新大統領選出へ

コロンボでは14日夜、辞表が提出されたことを知った市民が集まって、歓声を上げるなどしていました。

デモに参加していたという男性は「3か月以上にわたって私たちは団結し、行動してきました。市民の勝利です。新たな政権は私たちの声を聴くべきです」と話していました。

大統領の辞任を受けてウィクラマシンハ首相が大統領代行になり、来週にも議会で新たな大統領が選出される見通しで、今後は、政治的な混乱を収束させ、経済の立て直しに向け、国際機関などとの協議をいかに早く進められるのかが焦点となります。

専門家「今後不確実な要素が非常に多い」

スリランカ政治が専門のJETROアジア経済研究所の荒井悦代研究員はラジャパクサ大統領が辞任に追い込まれた背景について国民が汚職や腐敗、そして縁故主義の象徴であったラジャパクサ一族による政治をこれ以上、受け入れられなかったためだという見方を示しました。

そして、経済危機から国を立て直すためには政治的な安定が不可欠だとしたうえで「透明な形で選ばれた新しい大統領が目的を提示し国民の理解を得て国を作っていくことが非常に大事になる」と述べ、来週にも議会で選出される見通しの新たな大統領が国民の信頼を得ながら経済の立て直しへの道筋を示すことができるのかが焦点だと指摘しています。

一方で、新たな大統領が議会で選出されることについて「国民と政治家の間で望むものにギャップがある可能性があり、国民が望む人が選ばれるとは必ずしも、言えないのではないかと危惧している。今後、不確実な要素が非常に多い」として、政治的な混乱がおさまるかは不透明な情勢との見方を示しました。