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コロナと円安の夏 それでも上を向いて

また新型コロナの感染者数が急増中。
○○県で過去最多。○○県で過去最多…。
第7波の感染拡大が伝えられています。

さらには円も1ドル=139円台と24年ぶりの円安水準に。
衝撃的な数字が並びます。

それでも今年の夏は上を向いて。
この夏にかける人たちの声に耳を傾けました。

(盛岡放送局 梅澤美紀・ネットワーク報道部 高杉北斗 今井桃代)

花火玉の行き場がない…

創業128年の秋田県の花火会社「響屋大曲煙火」。
全国各地の花火大会で打ち上げる花火の製造を請け負ってきました。

しかし、コロナの影響で花火大会が軒並み中止になり、今年4月まで2年近く会社はほぼ休業状態。
この間、辞めていく花火師たちもいました。
響屋大曲煙火 齋藤健太郎代表
売り上げは従来の1割から2割ほどにまで落ち込みました。花火大会は毎年あるものだったので、翌年のおおよその量はみえるんですが、コロナで先を見通すのも難しくなってしまった。
1つの大会に使う花火玉を作るのにかかるのは2、3か月ほど。
大会が始まってから作るのでは間に合わないため「見込み生産」を行ってきました。

しかし、花火大会が中止されたことで、会社の倉庫には大量の花火玉が残りました。
保管できる量に限りがあるため、新たに量産していくことはできなくなってしまいました。
響屋大曲煙火 齋藤健太郎代表
花火を見て喜んでもらいたくて花火師になったのに、披露する場がなくなってしまった。また、作ることすらできない。美しく繊細な日本の花火の技術は世界一とも言われていて、それを身につけるためには作る経験を重ねることがいちばん大事なんです。

休んでいる間も花火を研究

花火を作りたくても作れない。
そんな花火師たちのモチベーションを維持するため、力を入れてきたのが花火の研究です。

黙って休んで耐えるだけじゃなくて、次の花火につなげたい。
みんなで集まり、新しい花火の色や形の開発を重ねてきました。

特別な思いで挑むのは、今年3年ぶりに開催される「大曲の花火」。

全国の花火師が花火の美しさや独創性を競い、例年70万人以上が集まる全国でも有数の花火大会です。
2018年 大曲の花火
コロナ対応で観覧席の収容人数はこれまでの6割に制限されましたが、その分、チケット代を値上げしながら開催を目指しています。
響屋大曲煙火 齋藤健太郎代表
全国の花火師たちも、この2年の時間で地道に研究を重ね、新しいものを生み出してくれると思う。私たちも地元の花火屋として、いいものを届けたい。「この時期があったからできた花火があった」と思えたらいいなと。

円安そして、再びコロナ…

一方、悩ましいのが花火の原材料費の高騰です。

花火作りに使う火薬などは海外からの輸入が頼り。
数年前から価格の上昇が続き、最近は円安の影響でさらに高騰。去年より10%以上、上がっているといいます。
すでに今シーズンの契約を終えた後で原材料が高騰したため、花火の価格に上乗せすることはできません。

そこに加えて、新型コロナの第7波の感染拡大。
参加予定だった花火大会の中には、中止するかもしれないと連絡が来たところもあります。

今年の夏は上を向いて

それでも、今年の花火大会に向け前を向く齋藤さんたち。
楽しみに待つお客さんのことを思いながら、準備を進めています。
響屋大曲煙火 齋藤健太郎代表
私たちは、お願いして花火を上げさせてもらう立場ですから、何も言えないです。でもやっぱり花火を披露して、皆さんの喜ぶ姿を見ることで、改めて花火作りっていいものだなと思えるんです。
どれだけ暗い思いをしていても、花火を見るときは人って上を向くじゃないですか。コロナで大変な思いをしている人はたくさんいるけど、今年の夏は上を見て前向きになってもらいたいなって。

待ちに待った大学生活が…

この夏を待ちかねていたのは、この春入学した大学1年生も同じです。

高校時代は、部活動の大会が中止、修学旅行も中止…。
大学受験はオミクロン株の感染拡大の中で行われました。

夏休みを前にしたコロナの感染拡大。
すでに第7波の影響が出ているといいます。

こちらの2人は、外国語の授業で行う2人1組での会話が14日から中止になりました。
倉田さんと中川さん
夏休みに予定していたサークルの合宿も中止に。感染拡大を理由に大学に認めてもらえなかったといいます。

さらに、アルバイトにも影響が出ています。
バイト先の日本料理店の店長からは「感染拡大が進んだら、バイトの人数を4人から3人に減らさなければならない可能性がある」と言われています。
大学1年生
月の稼ぎが現在の半分になってしまうことも考えられるので、不安に思っています。高校の修学旅行に続いて、大学でのサークル合宿も中止になり、大学生活が満足に楽しめないです。
また、円安の影響を感じている学生もいます。
来年秋の留学を目指しているこちらの2人。
坂井さんと陳さん
留学の要件になっているTOEFLの受験料は245ドル。支払いはドルです。

今年はじめ1ドル=115円ほどだった時は2万8000円余り。
それが円安の影響で、7月14日は1ドル=139円で3万4000円余り。

受験料は値上がりしていないのに、支払う金額は6000円近く高くなってしまいました。
大学1年生
この夏に最低2回はTOEFLを受ける予定なので、出費が増える影響は大きいです。
大学1年生
留学費用の一部はアルバイトで工面するので、留学をする来年には円安が収まってほしいです。

「留学辞退したい」という声も

実際、留学にはどのくらい影響が出ているのでしょうか。

早稲田大学では、ことしの秋に約700人が留学を予定しています。
早稲田大学
昨年度からアメリカやイギリスなどへの留学が本格的に再開。
留学する学生の数は、コロナ前の2019年度の約7割ほどまで戻ってきました。

しかし大学の留学センターには「円安によって資金が足りなくなった」など、経済的事情を理由に留学を辞退したいと申し出る学生が出ているといいます。

交換留学の場合、提携大学の授業料はかかりませんが、現地での滞在費や生活費が増えることを心配しているそうです。
早稲田大学 留学センター 水野峻介さん
留学する学生は選考を経て決まるため、その過程で涙をのむ学生もいるので、基本的に辞退は認めていません。しかし、記録的な円安という状況を踏まえると認めない訳にはいきません。奨学金の制度も急激な物価高や円安に対応している訳ではないので、力になりたくてもなれない状況です。

どうなるコロナと円安の夏

コロナと円安の夏。

政府からは14日時点では、強い行動制限を行わない方針が示されています。

ただ、政府分科会の尾身会長は14日夜の会見で「対策が徹底できなければ、再び行動制限を行うことも考えなければならなくなる」と話しました。

一方、7月12日に開かれた全国知事会は、新たな変異株の特性に応じた感染抑制と社会経済活動の両立に資する全般的な対応方針を求めました。
神奈川県 黒岩知事
オミクロン株は重症化率が低くなっているのでこれまでのようにすべての感染者を把握したり、濃厚接触者に7日間の自宅待機を求めたりする必要はない。
群馬県 山本知事
県内の医療提供体制は落ち着いており、これまでとは違い、感染者数は増えているが重症化する人は少ないという側面がある。ようやく人出が戻ってきて町も元気になってきたことを踏まえると、再び経済活動を制限するような措置は避けたい。

声は届いていますか?

コロナ禍で3度目の夏。
円安も追い打ちをかけています。

コロナの感染拡大によって命が失われることがあってはいけません。

ただ、コロナ禍の行動制限によって、仕事の機会を奪われたり、学生時代の貴重な経験ができなかったりする人たちがいます。

2度の夏を苦しみながら乗り越えてきた人たちの声は、届いていますか?

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