尾身会長「対策徹底が強い行動制限無しの重要な前提条件」

政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は、14日夜、開かれた記者会見で次のように話しました。

感染の第7波への対応で、政府から現時点では強い行動制限を行わない方針が示されていることについて「これまで行動制限を行うことで社会が強いダメージを受けてきた。感染症の実態も少しずつわかってきた中で、今後は感染を抑えながら社会経済を回したいという社会の要請がある。ただ、強い行動制限をせずに感染の波を乗り越えるためには14日に分科会で提言した5つの対策を徹底して行うということが重要な前提条件だ。5つの対策が徹底できなければ再び行動制限を行うことも考えなければならなくなる」と話しました。

そのうえで、「感染はより広がりやすくなっているがリスクの高い場面は変わらない。これまでの経験で多くの人がどんな場面で感染しやすいか工夫したり、判断したりできるようになっている。国や自治体だけでなく、市民一人ひとりが徹底した対策をしてもらうことが重要だ」と呼びかけました。

また、14日の提言の中で、今後、新型コロナウイルスを「日常的な医療提供体制の中に位置づけるための検討を始める必要があるのではないか」と指摘したことについて、尾身会長は「法律では、例えば感染者をしっかり隔離することなどが決められているが、医療現場での負担や現実の感染のありように、ギャップがあるという問題意識があった。14日の分科会でも活発に議論され、新型コロナを医療の中でどう位置づけていくか、今の第7波が落ち着くのを待たずにいますぐ議論を始めるべきだというのが委員の一致した意見だ」と説明しました。