【解説】ロシアの“飛び地”をめぐりEUやNATOと緊張高まる

バルト海に面したロシアの飛び地、カリーニングラード。
NATOとEUの加盟国ポーランドとリトアニアに挟まれ、ロシア本国からは離れた飛び地です。
いまこの飛び地をめぐりロシアとEU・NATOの緊張が高まっています。
EUはロシアからの様々な物資の禁輸措置を経済制裁として科しました。

カリーニングラードはプーチン政権になって軍事的な拠点としての重要性を強めていました。また、経済特区として外国投資を呼び込み、自動車産業などが発展してきました。

しかし、ロシアによるウクライナ軍事侵攻によって、“陸の孤島”となる危機に直面しています。

プーチン大統領はどのような対抗措置をとるのか?
NATO加盟を正式に申請しているフィンランドとスウェーデンの動きはこの緊張にどのような影響を与えるのか?

ロシア・旧ソビエトを長年取材してきた石川解説委員が解説します。

(動画は8分13秒です。データ放送ではご覧になれません)

カリーニングラードはなぜ飛び地に

もともとケーニヒスベルクと呼ばれて13世紀、ドイツ人の東方植民によってできた町です。東プロイセンと言われた地域で、19世紀ドイツ統一の主体となったプロイセン王国の中心都市のひとつでもありました。

バルト海に面した港町でバロック建築のドイツ風の町並みが残る町です。また琥珀の産地としても有名です。

ロシアの飛び地となったのは第二次大戦に伴うヨーロッパの領土変更の結果です。
ソビエトはこの土地をソビエト領の中のロシアの一部としました。
ソビエトは独立国だった周辺のバルト三国も併合しましたので、ソビエトの枠内では飛び地問題は解消しました。
1991年にソビエト連邦が崩壊した結果、今度はロシアの飛び地となったのです。

軍事的な拠点であり経済特区

バルト艦隊の本拠地があり、プーチン政権になって軍事的な拠点としての重要性を強めていました。
核兵器搭載可能な短距離ミサイル・イスカンデルも配備されています。
そうした軍事的な側面とともに、ポーランドとリトアニアに挟まれているという地の利を生かして、経済特区としてカリーニングラードは外国投資を呼び込み、自動車産業などが発展してきました。