萩生田経産相 米豪にLNG増産や安定供給要請 “理解得られた”

日米豪印の4か国の枠組み、クアッドのエネルギー担当大臣による会合に出席した萩生田経済産業大臣は、天然ガスの産出国のアメリカとオーストラリアに対して、LNG=液化天然ガスの増産や安定供給の要請を行い、日本の立場への理解が得られたという認識を示しました。

クアッドとしては初めてとなるエネルギー担当大臣による会合は、オーストラリアのシドニーで開かれ、日本からは萩生田経済産業大臣が出席しました。

日本は、「サハリン2」などの権益を通じて、天然ガスの輸入量全体の1割近くをロシアから調達していますが、安定的な調達先の確保が課題となっています。

このため、萩生田大臣は、天然ガスの産出国であるアメリカとオーストラリアの担当閣僚と個別に会談し、LNGの増産や安定供給の要請を行い、日本の立場への理解が得られたという認識を示しました。

またクアッドの会合では、水素や燃料アンモニアなどクリーンエネルギーの開発や、蓄電池の供給網の強化などエネルギー安全保障の確保に向けて、各国が協力する方針で一致したということです。

会合のあと、会見した萩生田経済産業大臣は「世界的な需給ひっ迫が懸念されるLNGをめぐって、アメリカやオーストラリアといった価値観を共有する国からの輸入の重要性が高まっている。LNGの増産や安定供給を両国に要請し、日本の立場への理解が示された」と述べました。

そのうえで今後、LNGの調達や新規投資を行う日本企業に対して、金融支援を積極的に行い、調達の強化につなげる考えを示しました。

一方で、萩生田大臣は、エネルギ-の脱ロシアをめぐって4か国の足並みがそろったかという質問に対して「それぞれの国でエネルギーに関する事情が違うことを前提に、各国でできることをやっていくという点では一致した。日本がサハリンからのLNGの輸入を続けていることについてはすべての国から理解してもらった」と述べ、アメリカなどの産出国と日本などの消費国との間では立場が異なるとして、一致した対応をとることへの難しさものぞかせました。

クアッド4か国のエネルギーめぐる事情

クアッドの4か国ではエネルギーをめぐる事情がそれぞれ異なり、ロシアに対する経済制裁への姿勢に違いもみられます。

アメリカは国内で石油や天然ガスなどが豊富に採れるため、ロシアへのエネルギーに依存する必要はありません。

オーストラリアも石炭や天然ガスに恵まれる資源の輸出国です。

このため両国は、ロシアからの原油や天然ガスの輸入を禁止するなどの経済制裁を科していて、ロシアへの締めつけを強化しています。

一方、人口14億人のインドは、国内のエネルギー消費が今後も増える見通しであることから、ロシアから石油などの輸入を続けていて、経済制裁には参加していません。

これに対して日本は、アメリカなどと歩調を合わせ、石油については原則、輸入しないことを表明しています。

ただLNGについては、輸入量全体の1割近くをロシア産に依存していて、その多くは、日本の大手商社が出資する「サハリン2」からのものです。

「サハリン2」をめぐっては先月30日、ロシアのプーチン大統領が事業主体を新たに設立するロシア企業に変更するよう命じる大統領令に署名し、日本企業が権益を維持できるか不透明な状況です。

このためロシアへの制裁を強めるアメリカやオーストラリアとともに、日本として一致した対応を維持できるか難しい判断が迫られています。

日本のLNG調達状況は

日本は、天然ガスをマイナス162度まで冷やしたうえでLNG=液化天然ガスの形で船で国内まで運んでいて、ほぼ全量を海外から輸入しています。

財務省の貿易統計によりますと、日本が輸入するLNGの量を国別の割合でみると2021年の時点で、
▽オーストラリアが35.8%、
▽マレーシアが13.6%、
▽カタールが12.1%、
▽アメリカが9.5%、
▽ロシアは8.8%となっています。

ロシアからの輸入のほとんどは「サハリン2」で生産されています。

サハリンは中東などと比べると日本との距離が近く、3日程度で運ぶことができ、輸送ルートに紛争地域もないため事故などのトラブルにあうリスクを抑えることができるということです。

こうしたことから「サハリン2」は、比較的安い価格で長期的にLNGを確保できる供給拠点として、日本にとってエネルギー安全保障上、重要なプロジェクトと位置づけられています。

ただロシアのプーチン大統領が先月30日、「サハリン2」の事業主体を新たに設立するロシア企業に変更するよう命じる大統領令に署名し、これまでどおり調達できるか不透明な状況となっています。

さらに、大阪ガスなどがLNGを調達するアメリカ南部のテキサス州にある輸出基地の「フリーポート」で、先月上旬に火災が発生しました。

フリーポートでは、部分的な操業再開が10月上旬に、フル稼働がことしの年末になるとしていて、今後もLNGが安定的に供給されるのか懸念が高まっています。