新型コロナ“第7波“ 接種済みでも感染 都内の現状は【7/13】

新型コロナウイルス“第7波“が全国に押し寄せています。12日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて2.14倍に急増し、3倍を超える地域も出てきています。

13日に発表された1日の感染者数は、東京では2日連続で、大阪でも5か月ぶりに1万人を超えたほか、北は青森県から南は沖縄県まで13県で過去最多を更新しました。(13日18時現在)

▽ワクチン接種してても?
▽観光への影響は?
▽行政の対応は?

都内の現状を取材しました。

13県で過去最多(18時時点)

13日に発表された1日の感染者数で、過去最多を更新したのは次の地域です。

【過去最多】
青森県 700人
岩手県 597人
静岡県 2195人
三重県 1068人
石川県 709人
和歌山県 630人
高知県 370人
大分県 1124人
長崎県 861人
宮崎県 1199人
熊本県 2561人
鹿児島県 1579人
沖縄県 3518人

都内では2日連続1万人超え

東京都は13日、都内で新たに10歳未満から100歳以上の1万6878人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。1週間前の水曜日の2.02倍となり、2倍を超える増加は9日連続です。

年代別に見ると、
▽20代が最も多く、全体の21.3%にあたる3589人でした。
▽65歳以上の高齢者は1000人を超えて1167人となり、全体の6.9%でした。

また、都は感染が確認された80代の女性と90代の男性のあわせて2人が死亡したと発表しました。

ワクチン接種済み、感染の経験あっても…

都内のクリニックの中には、ワクチンを接種済みだったり、すでに感染した経験があったりしても再び感染する人が目立っているところもあります。

東京・杉並区のたむら医院に設けられた発熱外来では、先週から患者が増え始め、今月11日には先週の2倍近くの人が訪れて、希望する患者全員を診察することが難しくなっているということです。
このクリニックで先週までに陽性となった人を年代別でみると、20代と30代が最も多く、全体の6割近くを占めています。

取材に訪れた8日も午前中だけで、熱やのどの痛みを訴えた20代と30代の男女4人が陽性と診断されていました。症状はいずれも軽く、4人ともワクチンを2回から3回接種していました。

このクリニックではこれまでコロナと診断された患者のほとんどがワクチンを接種済みで、第6波で感染した人で、再び感染する人もいるということです。
たむら医院の田村剛院長は「6月はコロナの患者が1人もいない日もあったが、先週から急増している。今は20代、30代の感染が中心だがこれから子どもや高齢者に感染が広がると、さらに大きな波になり、診療が回らなくなるのではないかと危惧している」と話していました。

そのうえで「ワクチンを接種していても感染する人が目立ち、感染力は強いと思われるので、重症化リスクが高い人を守るため、かぜのような症状があったら無理せず自宅で休むほか、基本的な感染対策を徹底することが重要だ」と指摘していました。

屋形船に一部キャンセルも 物価高騰も追い打ち

東京の名所を巡る屋形船では、一部の団体客から予約のキャンセルが出るなど影響が出始めています。

東京・品川区で30年あまり屋形船を運営する会社では、お台場や隅田川、東京スカイツリー周辺などを巡るコースが人気を集めているほか、夏は夕涼みに大勢の客が訪れるといいます。

新型コロナの感染拡大後は、客席を減らした上で窓や換気扇による換気や消毒を徹底しているほか、テーブル上に隣の客との間に仕切りを設けるなど、対策を工夫してきたといいます。

その結果、去年とおととしの2年間、売り上げが例年の1割程度に落ち込んでいた状況から、現在ではようやく1か月あたりの売り上げ額が例年の半分程度まで回復してきたということです。

しかし、東京都では12日に続き13日も新型コロナの新規感染者数が1万人を超えるなど、全国各地で感染者数が増加傾向にある中で、屋形船の予約は個人客からは増えているものの1週間ほど前から一部の団体客のキャンセルが出るなど影響が出始めているといいます。

また、物価の高騰が続いている影響で、調理に使う食用油が去年の秋から倍近く値上がりしたほか、船の燃料となる軽油なども値上がりしていて、値段を据え置くため料理の内容を見直すといった対応にも追われてきただけに、この感染拡大が今後、どう響いてくるのか心配する声が聞かれました。
「船清」のおかみ、伊東陽子さんは「天ぷら油や燃料代も上がり何重苦にもなっている中で、感染者が増えているのは頭が痛いです。やっと人が動いてきた実感があったので、ここで行動制限が出るとどうしたらいいのかと不安に思います。感染防止対策を徹底して頑張るのみです」と話していました。

自宅療養も急増 保健所は体制強化

東京・練馬区の保健所は職員を増やして自宅療養者などの対応にあたっています。

練馬区では今週に入って新たに感染する人の数が1日で800人を超え、自宅療養する人の数も3週間前の5倍近くの2500人あまりに増えています。

こうした中、練馬区保健所は、
▼検査で新たに陽性になった人から連絡を受けて必要に応じて入院の調整を行ったり、
▼自宅療養している人に電話をかけて健康観察を行ったりしていて、
13日も職員が慌ただしく対応に追われていました。

保健所は感染が比較的落ち着いていた先月までは100人ほどの職員で対応していましたが、今月に入って区役所のほかの部署から応援の形で増やすなどして、およそ140人で業務にあたっています。

練馬区は、
▼区内の診療所の医師や薬局の薬剤師と連携して自宅療養者への健康観察や電話での診療を行うほか、
▼食料品などの支援物資を自宅に送る対応を進めたいとしています。

「緊張感が高まっている」

練馬区保健所の石原浩所長は「感染者数の急激な増加を受け、現場でも忙しさが増して緊張感も高まっている。第6波の際は保健所で業務にあたる職員を180人まで増やしたので、今回もほかの部署と相談して必要に応じて早めに人員を確保し、どんなに感染者や自宅療養者が増えても遅延なくしっかり対応したい」と話していました。

そのうえで、「感染者数を増やさないためには基本的な感染予防対策とワクチン接種が有効なので、特に若い世代を中心に3回目の接種を受けていない人はぜひ検討してほしい」と話していました。