セメント業界 燃料の石炭高騰で「サーチャージ制」導入の動き

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を背景に燃料となる石炭の価格が高騰する中、セメント業界では個別に価格交渉を行うのではなく価格の上昇分を上乗せするサーチャージ制度を導入する動きが出ています。

セメントメーカーでは、石灰石などを熱する燃料として石炭を大量に使用しますが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を背景に石炭価格が高騰していて、ことし5月には、石炭1トンの価格が前の年の同じ時期と比べておよそ4倍の400ドル台となりました。

こうした中、業界最大手の太平洋セメントは、ことし9月の出荷分から値上がり分を上乗せするサーチャージ制度を初めて導入することを決めました。

石炭1トン当たり200ドルを上回った場合は、価格の上昇分を自動的に転嫁します。

これまでは、価格を上げるたびに顧客と交渉していましたが、まとまるまで長期間かかることも多く、新たな制度の導入を決めたということです。
中野幸正専務は「経験のない価格帯まで高騰していて、セメント事業の継続は厳しい状況にある。取引先の理解を得ながら進めていきたい」と話していました。

セメント業界では、住友大阪セメントもサーチャージ制度の導入も含め検討を進めているほか、UBE三菱セメントも10月に値上げを行う方針で、エネルギー価格の高騰を背景に値上げの動きはさらに広がりそうです。