ロシア軍 ウクライナ東部をミサイルで攻撃 市民の犠牲広がる

ロシア軍はウクライナ東部をミサイルで攻撃し、集合住宅が破壊されるなど市民の犠牲が広がっています。
ロシア軍が侵攻するウクライナ東部のドネツク州では、ウクライナ側の拠点、クラマトルシクから30キロほど南東の町で、5階建ての集合住宅がミサイルで攻撃され、ウクライナの非常事態庁は、これまでに31人が死亡したと明らかにしました。

ロシア軍は東部ハルキウ州でも攻撃を続けていて、地元の州知事は11日、「ロシア軍がハルキウ市内のショッピングモールや集合住宅などを攻撃した」と投稿し、地元の検察当局によりますと、これまでに6人が死亡したとしていて市民の犠牲が広がっています。

また、ロシア国防省は11日、東部ドニプロペトロウシク州で巡航ミサイル「カリブル」を発射してアメリカがウクライナ軍に提供した高機動ロケット砲システム=ハイマースなどを破壊したと発表しました。

一方、イギリス国防省は11日、ロシア軍が兵士に対して休息の計画が欠如し、身体面や精神面での負担を訴えることが相次いでいると分析しています。

こうした中、ロシアのプーチン大統領は11日、ウクライナ全域を対象に、住民がロシア国籍を取得しやすくするため、手続きを簡素化するとした大統領令に署名しました。

プーチン大統領は、ことし5月、ロシアが掌握したとする南部のヘルソン州や、南東部のザポリージャ州の住民を対象にロシア国籍を取得しやすくする措置を取りましたが、今回、対象地域をウクライナ全域に拡大させた形です。

支配の既成事実化を強める「ロシア化」をいっそう進めたいねらいがあるとみられます。

ロシアとトルコ 大統領が電話で会談

ロシア大統領府は11日、プーチン大統領がトルコのエルドアン大統領と電話で会談したと発表しました。

それによりますと、両首脳は、トルコが、国連とともに仲介役として、調整しているウクライナ産の穀物の黒海での海上輸送について、協議したということです。

農業大国ウクライナの南部の黒海に面する港では、ロシア軍による封鎖によって穀物の輸出ができない状況が続いています。

これに対し、トルコ大統領府も、エルドアン大統領が「今こそ黒海での穀物輸出の計画に向けて行動を起こすときだ」と強調したとしています。

一方、ロシア大統領府は、今回の電話会談の中で「両首脳は、近い将来の首脳会談を前に課題について協議した」として、首脳会談への調整が進んでいることを明らかにし、プーチン大統領が、ウクライナ情勢の仲介役のエルドアン大統領と直接、会談に臨むかどうかも注目されます。

エルドアン大統領はこの日、ウクライナのゼレンスキー大統領とも穀物の輸出などをめぐり、電話で会談したとしていて、ロシアとウクライナの停戦交渉に、積極的に関与する姿勢を改めて強調しています。