ロシア軍 集合住宅攻撃で市民に被害 ウクライナ側は南部で反撃

ロシア軍が、完全掌握を目指すウクライナ東部ドネツク州では、ミサイルによる攻撃で集合住宅が破壊され市民への被害が広がっています。
これに対し、ウクライナ側は南部ヘルソン州などで反撃をする構えで、一進一退の攻防が続いています。

ウクライナ非常事態庁 “これまでに26人が死亡”

ロシア軍が、攻撃を続けるウクライナ東部ドネツク州では9日夜、ウクライナ側の拠点、クラマトルシクから30キロほど南東の町で、5階建ての集合住宅がミサイルで攻撃されました。

ウクライナの非常事態庁は、これまでに26人が死亡したと明らかにしました。

ロシア軍は、兵員や装備品を補充し、部隊の再編も行っているもようで、今後も砲撃を続けながら、ドネツク州の拠点の都市への大規模な攻勢に向けた準備を加速させるものとみられます。

南部ではウクライナ側が反撃

一方、南部ではウクライナ側が反撃していて、ウクライナの国営通信はベレシチュク副首相が8日、地元テレビ局に出演し、ロシアが掌握したとしている南部ヘルソン州と、南東部ザポリージャ州の住民に対し、できるだけ早く避難するよう呼びかけたと伝えました。

ベレシチュク副首相は、ロシア軍から領土を奪還する方針を示し「大きな戦いとなる」として、特に子どもがいる女性はヘルソン州とザポリージャ州に残ると、今後状況が悪化し、危険にさらされるおそれがあると述べました。

英国防省 “一進一退の攻防続き戦況はこう着”

戦況を分析するイギリス国防省は11日、「ロシア軍は東部ドンバス地域で砲撃を続けているが、大きな領土掌握はなかったとみられる」と指摘しています。

またウクライナ軍の動きについて「ヘルソン州の北東部でロシアの陣地に対し、局地的な圧力をかけ続けているが、こちらも領土の奪還はないとみられる」としていて、ロシアは東部に、ウクライナは南部で攻勢をかけているものの一進一退の攻防が続き、戦況はこう着していると指摘しています。