ウクライナ ドネツク州 “15人死亡” ロ軍 攻勢向け準備加速か

ロシア軍が完全掌握を目指すウクライナ東部ドネツク州では、集合住宅へのミサイル攻撃によりウクライナ側は少なくとも15人が死亡したとしています。
ロシア軍は、部隊の再編も行っているもようで今後も砲撃を続けながらドネツク州の拠点の都市への大規模な攻勢に向けた準備を加速させるものとみられます。

ロシア軍が完全掌握を目指すウクライナ東部ドネツク州では9日夜、ウクライナ側の拠点、クラマトルシクから30キロほど南東の町で、5階建ての集合住宅がミサイルで攻撃されました。

ウクライナの非常事態庁は、少なくとも15人が死亡、5人がけがをしたと明らかにし、地元のキリレンコ知事は「住民によると9歳の子どもを含む34人が住んでいた可能性が高い」と述べ、救出活動を続けていると説明しました。

また、ロシア国防省は10日、ドネツク州の別のウクライナ側の拠点、スロビャンシクも攻撃し、ウクライナ側の兵士を最大100人殺害したとした上でアメリカ製のりゅう弾砲の弾薬やロケット弾などを破壊したと発表しました。

イギリス国防省は10日「ロシア軍は、スロビャンシクに対して、北側に位置するハルキウ州のイジュームと、東側に位置するルハンシク州のリシチャンシクの双方から砲撃を続けている」と分析しています。

そして、ロシア軍がドネツク州とハルキウ州を結ぶ幹線道路を支配下に置くことを重視し、砲兵部隊がイジュームから攻撃を仕掛けていると指摘しています。

ロシア軍は、兵員や装備品を補充し、部隊の再編も行っているもようで今後も砲撃を続けながら、ドネツク州の拠点の都市への大規模な攻勢に向けた準備を加速させるものとみられます。

“がれきの中にさらに住民が残されている可能性“

ロシア軍のミサイル攻撃により少なくとも15人が死亡したウクライナ東部ドネツク州の集合住宅で、10日に撮影された映像では、救助隊ががれきの中から男性を発見し、引っ張り出す様子が確認できます。

救出された男性は、担架に載せられて運ばれていきました。

この集合住宅について、地元のキリレンコ知事は「住民によると9歳の子どもを含む34人が住んでいた可能性が高い」と述べていて、当局は、がれきの中にさらに住民が残されている可能性があるとみて、救出活動を進めています。

ゼレンスキー大統領「15人は残念ながら最終的な数ではない」

ウクライナ東部ドネツク州での集合住宅へのミサイル攻撃について、ウクライナのゼレンスキー大統領は、10日に公開した動画で「現在も救出活動が続いており、数十人ががれきの下にいて6人が救出された。現時点で死者のリストに15人の名前があるが、残念ながら最終的な数ではない」と述べ、さらに死者が増える可能性があるという認識を示しました。

また「このミサイル攻撃を指示し、一般の住宅地を狙うことは、完全に故意の殺人だ。このような攻撃のあとで、殺人者が『知らなかった』『理解していなかった』と言うことはできない」と非難しました。

その上で「ナチスの殺人犯は年老いたあとであっても世界中で捕らえられ、裁かれている。私たちはそれほど長く待ちたくはないが、すべてのロシアの殺人者にとって、罰は避けられない」と述べ、ロシア軍による戦争犯罪を徹底的に追及する考えを強調しました。