「インフレ」ことし後半のトップ級のリスクに 米エコノミスト

国際情勢を分析し、毎年1月、「ことしの10大リスク」を発表しているアメリカの調査会社「ユーラシア・グループ」のエコノミストは、NHKのインタビューに応じ、ことし後半に加えるべきトップクラスのリスクとしてインフレをあげました。
そしてアメリカは今後、利上げによって75%という高い確率で景気後退に陥るという見方を示しました。

インタビューに応えたのは「ユーラシア・グループ」で世界経済のリスク分析を統括するエコノミスト、ロバート・カーン氏です。

この調査会社が1月に発表した「ことしの10大リスク」の1位は、中国の「ゼロコロナ」政策の失敗で、ロシアのリスクは5位でした。

カーン氏は「ロシアのリスクはもっと上位であるべきだった。ロシアとの交渉のなかで妥協点が見つかるかもしれないという希望を抱いていた」と述べました。

一方で、ことし後半に加えるべきトップクラスのリスクとして世界的なインフレをあげました。

カーン氏は「新型コロナからの経済の正常化や物流の混乱、さらにロシアの軍事侵攻やエネルギー価格の高騰に食料危機などの衝撃が組み合わさってインフレが起きた。暗い部屋のなかで家具をひどく壊さないよう歩くようなものだ」と述べました。

そのうえでカーン氏はアメリカでは急速な利上げによって来年には75%という高い確率で景気後退に陥るという見方を示しました。

25%は厳しい景気後退となる可能性があるものの、利上げによってインフレは落ち着くため、50%は穏やかな景気後退で済むだろうと予測しています。

“中国経済の行方は引き続き世界の大きなリスク”

「ユーラシア・グループ」の「ことしの10大リスク」では、最大のリスクとして、新型コロナウイルスの感染を徹底して封じ込めるため、中国が進める「ゼロコロナ」政策が失敗する可能性をあげていました。

カーン氏は、現在の「ゼロコロナ」政策は、中国がmRNAワクチンを量産化し、広く普及する可能性があることしの秋以降から来年までは緩和は難しいだろうと予測し、その間に政府が行うさまざまな景気刺激策も、ロックダウンの影響で、期待した効果が得られないと予測しています。

そのうえで「中国の景気の減速は世界全体に波及し、地政学リスクを助長する」と述べ、中国経済の行方は引き続き世界の大きなリスクであると指摘しました。

また、ロシアの軍事侵攻を巡って中国が対ロシアでどのような対応をとるかについて「ロシアへの軍事的な支援は、中国を世界市場から孤立させてしまう危険があることは明らかだ。孤立は中国にとって利益ではないため、中国は支援を行わないという決断を下すと思う」との見通しを示しました。