ロシア軍 大規模攻勢へ部隊再編も 旧式の装備品など課題

ロシア軍はウクライナ東部ドネツク州の完全掌握に向け兵員の補充など部隊の再編を行ったうえで、大規模な攻勢に乗り出すとみられています。一方、イギリス国防省はロシア軍が予備の部隊をウクライナに投入する動きをみせているものの、旧式の装備品など課題を抱えていると指摘しています。

ロシア国防省は9日、各地をミサイルで攻撃し、東部のドネツク州やハルキウ州南部のミコライウ州、さらに中部のキロボフラード州などでウクライナ軍の武器庫や燃料庫といった軍事インフラを破壊したと発表しました。

ドネツク州のキリレンコ知事はSNSへの投稿で、ウクライナ軍の重要拠点となっているクラマトルシクやスロビャンシクなどが7日に攻撃され、6人が死亡、21人がけがをしたのに続き、8日にも近隣の拠点シベルシクなどが攻撃を受け、5人が死亡、8人がけがをしたと攻撃を非難しました。

ドネツク州の完全掌握を目指すロシア軍は今後、兵員や装備品を補充し部隊を再編したうえで、拠点都市への大規模な攻勢に乗り出すとみられています。

ロシア軍の部隊について、イギリス国防省は9日「ロシアは国中から予備の部隊を移動させ、将来の攻撃作戦のためウクライナの近くに集めている」と分析しています。

一方で「プーチン大統領は7日『ウクライナでの本格的な戦闘は始まってもいない』などと主張したが、増援部隊の多くはその場しのぎのグループで、旧式で不適切な装備品が配備されている」とロシア軍の抱える課題を指摘しています。

これに対してアメリカの国防総省は8日、ウクライナに4億ドル、日本円でおよそ544億円の追加の軍事支援を行うと発表しました。

またウクライナのゼレンスキー大統領はアメリカ・CNNテレビのインタビューで「アメリカだけでなく、各国の指導者たちに支援を求める」と述べ、ロシア軍の大規模な攻勢に備えるため、軍事支援を強化するよう欧米各国に改めて訴えました。