ロシア軍 部隊再編でドネツク州拠点攻略か 南部ではこう着状態

ロシア軍は、ウクライナ東部ドネツク州の掌握に向け部隊の再編を行い、拠点都市の攻略を目指すものとみられます。一方、南部ではウクライナ軍の反撃もあるとの分析もあり、こう着状態が続いています。

ロシア国防省は、ウクライナ東部ルハンシク州の全域を掌握したと宣言したあと、東部ドネツク州の完全掌握に軍事作戦の重点を移しています。

戦況を分析するイギリス国防省は8日、「ロシア軍の最前線からおよそ8キロ西にあるドネツク州のシベルシク方向に軍の装備を集中させているようだ」としたうえで、部隊の再編を行っていると指摘しています。

そのうえで、ロシア軍は今後、州内のウクライナ側の重要拠点、スロビャンシクとクラマトルシクの攻略に向け、ロシア側の最前線との間に位置するシベルシクが当面の戦術的な目標になる可能性があると分析しています。

一方、イギリス国防省は「南部ヘルソン州の南西部ではウクライナ軍が徐々に前進している」として、ウクライナ側が反撃する動きがみられると指摘していて、こう着状態が続いています。

こうした中、ロシアのプーチン大統領は7日、クレムリンで開かれた議会幹部との会合で演説し「欧米側は、われわれを戦場で打ち負かそうとしているようだが、私が言えるのは『やってみたらいいだろう』ということだ」と述べ、欧米側をけん制しました。

また、インドネシアで開かれているG20=主要20か国の外相会合に出席するロシアのラブロフ外相は8日、記者団に対し「欧米側が交渉ではなく、戦場でロシアを打ち負かそうとするのであれば、欧米側と何も話すことはない」と述べました。

プーチン大統領の年次教書演説 秋に実施される可能性

ロシア大統領府のペスコフ報道官は7日、プーチン大統領が内政や外交の基本方針を発表する年次教書演説について、ことしは秋に実施される可能性を示唆しました。

年次教書演説は、当初ことし3月に予定されていましたが、2月にウクライナへの軍事侵攻が始まったことを受けて、延期されていました。

演説が秋に延期される可能性が示唆されたことで、ロシアの一部メディアは、軍事侵攻は少なくとも秋まで続く可能性があるという見方を伝えています。