【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる8日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

G20外相会合閉幕 対立が一段と鮮明に

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって以降、初めてとなるG20=主要20か国の外相会合は、8日閉幕しました。会合では、欧米各国がロシアを非難したとみられ、ウクライナ情勢を巡る対立が一段と鮮明になりました。

インドネシアのバリ島で7日始まったG20の外相会合は、8日、全体での議論が行われ、アメリカのブリンケン国務長官やロシアのラブロフ外相らが対面で出席しました。
8日は、ウクライナ情勢を背景にした世界的なエネルギー価格の高騰や懸念が高まる食料危機への対応などについて各国が意見を交わし、日本時間の午後6時ごろ閉幕しました。

閉幕後、会見したインドネシアのルトノ外相は、「各国は、平和と安定のための環境づくりには、国家間の信頼関係が重要であると確認した」と述べました。一方で、会合の中で、複数の国がロシアによるウクライナへの軍事侵攻を批判したことを明らかにし、欧米各国がロシアを非難したとみられます。これに対してラブロフ外相は「欧米側が、交渉ではなく、戦場でロシアを打ち負かそうとするのであれば、話すことは何もない」と欧米各国を批判しました。今回の会合では、G20として事態の打開につながる方向性を打ち出せるかが焦点となっていましたが、ウクライナ情勢を巡る対立が一段と鮮明になりました。

ロシア プーチン大統領 年次教書演説は秋に実施の可能性

ロシア大統領府のペスコフ報道官は7日、プーチン大統領が内政や外交の基本方針を発表する年次教書演説についてことしは、秋に実施される可能性を示唆しました。

年次教書演説は、当初、ことし3月に予定されていましたが、2月にウクライナへの軍事侵攻が始まったことを受けて延期されていました。

演説が秋に延期される可能性が示唆されたことで、ロシアの一部メディアは、軍事侵攻は、少なくとも秋まで続く可能性があるという見方を伝えています。

G20外相会合 報道陣がロシア外相に「いつ戦争をやめるのか」

G20の外相会合の会場では、現地時間の8日午前9時半ごろから議長国を務めるインドネシアのルトノ外相が各国の外相を出迎えました。

ロシアのラブロフ外相が到着し、ルトノ外相と一緒に写真を撮影していた際には、取材をしていた海外の報道陣から「いつ戦争をやめるのか」と声が上がりました。

ラブロフ外相は何も答えず、写真撮影を終えると会場へと歩いて向かいました。

その後、声を上げた報道陣の1人はインドネシア政府の関係者によって、取材の場から出される事態となりました。

G20外相会合 ウクライナ情勢背景にした食料危機対応など議論へ

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻以降、初めてとなるG20=主要20か国の外相会合は8日、全体で議論を行い、懸念が高まる食料危機への対応などについて意見を交わす見通しです。欧米各国とロシアとで主張が対立することも予想される中、G20として具体的な成果が出せるかが焦点です。

8日はメンバー全体で集まり、ウクライナ情勢を背景にした世界的なエネルギー価格の高騰や、懸念が高まる食料危機への対応などについて意見を交わす見通しです。

会合にはアメリカのブリンケン国務長官やロシアのラブロフ外相が対面で出席するほか、招待されたウクライナのクレバ外相がオンラインで出席する見通しです。

欧米各国とロシアとで主張が対立することも予想される中、G20として具体的な成果が出せるかが焦点です。

ロシア・トルコが外相会談

G20の外相会合に出席するためインドネシアを訪問したロシアのラブロフ外相とトルコのチャウシュオール外相が7日、現地で会談しました。

ロシア外務省は会談後の声明で「ウクライナ情勢を中心に意見が交わされた。ウクライナ側は欧米の支援を受け、和平に向けたこれまでの合意を後退させようとする軍事的な野心を示しているが、ロシアは決して受け入れられないという立場を強調した」とし、トルコを仲介役としたことし3月の停戦交渉の内容からウクライナ側が逸脱していると一方的に批判しました。
また「黒海でのロシアとトルコの相互活動など国際的な課題についても議論した」とし、ウクライナ産の穀物の海上輸送をめぐる問題についても話し合ったとみられます。

一方、ロシアの貨物船がウクライナで収穫された穀物を持ち去り、その後、トルコ当局に拿捕(だほ)されたと伝えられている問題について直接は触れていません。

両外相はプーチン大統領とエルドアン大統領の首脳会談に向け、引き続き調整する方針を確認したということです。

プーチン大統領 さらに攻勢を強める姿勢示す

ロシアのプーチン大統領は7日、クレムリンで開かれた議会幹部との会合で演説し、ウクライナへの軍事侵攻について「欧米側はわれわれを戦場で打ち負かそうとしているようだが、私が言えるのは『やってみたらいいだろう』ということだ」と述べ、ウクライナへの軍事支援を続ける欧米側をけん制しました。そのうえで「ウクライナでは本格的には何も始まっていないことを知るべきだ」と述べ、今後さらに攻勢を強める姿勢を示しました。
また停戦交渉について「われわれは交渉を拒否することはない。しかしウクライナは交渉を拒めば拒むほどわれわれとの交渉がさらに厳しくなることを理解すべきだ」と述べ、ウクライナ側を批判しました。
またプーチン大統領は経済制裁について「ロシアに対する違法な措置はわれわれに困難をもたらしている。しかし欧米側の目的はロシア経済に大きな打撃を与えるだけでなく、われわれの社会に不和や混乱をもたらし士気をくじくことだったが、彼らにとっては誤算だった。何も起こらなかったし何も起きないだろう」と述べ、制裁はロシアの作戦の妨げにはならないと強気の姿勢を示しました。

ロシア議会下院 エネルギー委員会「サハリン1にも影響」

日本の大手商社も出資するロシアの石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」をめぐり、ロシア議会下院のエネルギー委員会のザワリヌイ委員長は7日、大統領令で事業主体をロシアの管理下に移さざるをえなくなったのは各国による制裁の影響だと述べました。そのうえで「これは明らかにサハリン1にも影響する」と述べ、サハリン沖で日本の大手商社も進めている石油・天然ガス開発事業「サハリン1」についてもロシアの管理下に置くべきだという考えを示しました。
ただこれについてロシア大統領府のペスコフ報道官は7日「ロシアは自国の利益を最優先にし、いずれも個別に決定がなされる」と述べ、具体的に決まっていないとして慎重な姿勢を示しています。

ロシア議会下院 特定企業に物資提供を強制する法案審議進む

ウクライナへの軍事侵攻が長期化する中、ロシアの議会下院では政府が国外で活動する軍や治安機関を支援するため、特定の企業に対して物資の提供を強制する法案の審議が進んでいます。
議会下院は法案が必要とされる背景について、ウクライナでの「特別軍事作戦」によって兵器の修理や物資の供給に関する需要が短期的に増すとしています。そしてこうした需要に迅速に対応するためには経済の特定の分野に一時的に労力を集中させる必要が生じるとしたうえで、政府は軍需産業を動員し生産能力を高めるとしています。
イギリス国防省は7日の分析で法案は採択される可能性が高いとしたうえで、その目的については「国民が神経質になる国家動員の宣言を正式に出すことを避け『特別軍事作戦』を支援するためとみられる」と指摘しました。

ウクライナ検事総長“ロシアの戦争犯罪 2万1000件以上”

ウクライナのベネディクトワ検事総長はイギリスの公共メディアBBCの取材に対し、捜査に当たっているロシアによる戦争犯罪は2万1000件以上に上ると明らかにしました。そのうえで市民を殺害したり拷問したりしたロシア軍の兵士に対し「法廷に立たされるのは時間の問題だと認識すべきだ」と警告しました。

ドネツク州知事“クラマトルシク 1人死亡 6人けが”

ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事は7日、ロシア軍がクラマトルシクの中心部をミサイルで攻撃し、これまでに1人が死亡、6人がけがをしたと発表しました。キリレンコ知事がSNSに投稿した動画では、建物の近くにミサイル攻撃によるものとみられる大きな穴や焼けた車などが確認できます。
キリレンコ知事は「これは民間人への意図的な攻撃だ。われわれがロシア軍を追い出すまで続くだろう」として住民に避難を呼びかけています。
ドネツク州では5日にもクラマトルシクの北にあるスロビャンシクで中央市場が砲撃を受けて少なくとも2人が死亡、7人がけがをするなど、住民が巻き込まれる被害が相次いでいます。

ロシア軍部隊再編か

ロシア軍の動きについてイギリス国防省は7日に発表した分析で「ロシア側はドネツク州の最前線では激しい砲撃を続けているが、領土の掌握はわずかにとどまっていて部隊の再編を進めている」と指摘しました。

ロシア軍は東部ルハンシク州での戦闘が激しい消耗戦となったことから、ドネツク州の完全掌握に向けて当面は部隊を再編し、その後、本格的な攻勢に乗り出すとみられています。

ロシアのプーチン大統領は7日、クレムリンで開かれた会合でウクライナ東部2州について「ロシア政府は人々を助けるためにはあらゆる手を尽くす」と述べ、ロシア系住民の解放を名目に軍事侵攻を続ける考えを強調しました。