【詳しく】オミクロン株「BA.5」とは 国内でも広がり 最新状況

新型コロナウイルスのオミクロン株のうち、「BA.5」というタイプの変異ウイルスが欧米などでは主流となっていて国内でも広がりつつあります。

専門家は「感染力がやや強く、免疫を持っている人もかかってしまうことがあり、ある程度、感染者数が増えることは避けられない。感染者数がどんどん増えれば、重症になる人もでるので、注意していく必要がある」と指摘しています。

「BA.5」とは

「BA.5」はオミクロン株の一種で、ことし2月に南アフリカで確認されたあと、5月以降、欧米を中心に広がり、WHO=世界保健機関によりますと、先月中旬の段階で世界で検出される新型コロナウイルス全体の40%ほどを占めています。

アメリカでは、今月初めまでの1週間で全体の半分以上を占めるに至り、このところの感染の増加に影響していると考えられています。

イギリスの保健当局の先月24日の発表によりますと、「BA.5」はそれまで主流だった「BA.2」と比べて、35.1%速く広がっているとみられるということです。

東京都のモニタリング会議での報告によりますと、先月20日までの1週間で、「BA.5」が疑われるケースが25.1%を占めていたということです。

特徴は

「BA.5」はウイルスの表面にある突起で、細胞に感染する際の足がかりとなる「スパイクたんぱく質」に「L452R」などの変異が起きていて、免疫を逃れる性質があり、WHOによりますと、「BA.5」はウイルスの働きを抑える中和抗体の効果が当初広がったオミクロン株の「BA.1」に比べて7分の1以下になったという実験結果があるということです。

また、ワクチン接種や感染によって得られた免疫が時間の経過とともに弱まってきていることも感染の広がりにつながっているとみられています。

先月30日に開かれた厚生労働省の専門家会合で京都大学の西浦博教授が示した資料によりますと、オミクロン株に対する免疫を持つ人の割合はいずれの年代でも下がり始めていて、6月末の時点で20代で44.6%、70代以上では37.4%などとしています。

重症化は

一方、感染した場合に重症化しやすいかどうかについてWHOは先月22日の週報で「『BA.1』と比べて変化しているという情報はない」としているほか、ECDC=ヨーロッパ疾病予防管理センターも先月13日の報告で、データはまだ限られているとしたうえで「重症度が増しているという証拠はない」としています。

ただ、感染者数が増えると、入院者数や死亡者数が増える可能性があると指摘しています。

さらに、ワクチンについてイギリスの保健当局は5月下旬までの1か月余りの間に感染した人のデータを分析したところ、「BA.5」に感染した人と「BA.2」に感染した人との間で、ワクチンの効果に大きな違いはなかったと報告しています。
海外の感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「いままで流行していたタイプのオミクロン株に比べて感染力がやや強く、免疫を持っている人もかかってしまうことがある。『BA.2』から置き換わるだけでなく、ある程度、感染者数が増えることは避けられない。各国からの報告では感染した場合の重症度は今のところあまり変わらず、従来のオミクロン株と同程度だとされている。ただ、感染者数がどんどん増えれば、重症になる人もでるので、注意していく必要がある」と指摘しています。