ウクライナ ドネツク州へ攻撃強まる 知事 市民に避難呼びかけ

ウクライナ東部、ルハンシク州の全域を掌握したと宣言したロシア軍は、今後は隣接するドネツク州の完全掌握を目指すとみられ、各地をミサイルで攻撃し、攻勢を強めています。
ドネツク州のキリレンコ知事は記者会見を開き、今も35万人もの市民が取り残されているとして、市民に避難を呼びかけました。

ロシア国防省は5日、ウクライナ東部のドネツク州やハルキウ州、南部のミコライウ州など、各地をミサイルで攻撃し、指揮所や弾薬庫、兵器などを破壊したと発表しました。

ロシア軍は、すでに東部ルハンシク州の全域を掌握したと宣言していて、今後は隣接するドネツク州の完全掌握を目指すとみられています。

ロシアのショイグ国防相は5日、軍の幹部と会議を行い「特別軍事作戦は最高司令官が定めた任務が完了するまで継続される」と述べ、プーチン大統領の指示に従い、軍事作戦を推し進めると強調しました。

こうした中、ドネツク州のキリレンコ知事は5日、記者会見を開き、州内のロシア軍による侵攻前にウクライナが管轄していた地域に、今も35万人もの市民が取り残されていることを明らかにしました。

そのうえで「人が少なくなれば、われわれは敵により集中し、主要な任務を行うことができる」と話し、住民に避難を呼びかけました。

ゼレンスキー大統領は、5日に公開したビデオメッセージで、ロシア軍がウクライナの各地へ行っているミサイル攻撃について「ロシアのミサイル攻撃から国民を守ることは、わが国にとって最大の課題だ」と述べ、ミサイル防衛システムを強化するための欧米の支援の重要性を強調しました。

こうした中、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は4日、ウクライナ軍がドネツク州などで欧米から供与された兵器を効果的に活用し、ロシア軍の弾薬庫などを破壊していると指摘しました。

ウクライナ側は欧米の軍事支援を受けて攻勢に転じる構えで、ウクライナ東部を中心に激しい攻防が続く見通しです。

ドネツク州知事 “ロシア軍 市民のインフラや住宅破壊”

ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事は5日に記者会見を開き、水の浄化センターなど、重要なインフラがある要衝スロビャンシクや、クラマトルシクが、ロシアのいちばんの標的となっていると説明しました。

そして「ロシア軍は前進していないが、より多くの砲撃を行っていて、非常に混とんとしている。軍事施設などを特定の標的にしておらず、ただ、市民のインフラや住宅地を破壊している」とロシア軍の攻撃を非難しました。