焼岳や新燃岳 中長期的に火山活動が高まっている可能性

長野と岐阜の県境にある北アルプスの「焼岳」や霧島連山の「新燃岳」について専門家などで作る火山噴火予知連絡会は火山性地震などの活動は落ち着きつつあるが、山頂付近の膨張が続くなど中長期的には活動が高まっている可能性があるとの検討結果をまとめました。

火山噴火予知連絡会の定例の会合が5日、気象庁で開かれ全国の火山活動について検討しました。

このうち、ことし5月に山頂付近で微小な火山性地震が増加し、噴火警戒レベルの導入以降初めて「2」に引き上げられた焼岳では、地震回数も落ち着いてきているということです。

一方、山頂付近では緩やかな膨張を示す地殻変動が続いていて、周辺では数年おきに震度1以上を観測する地震活動もみられることから、中長期的には火山活動が高まっている可能性があり、今後の活動の推移に注意が必要だとしています。

霧島連山の新燃岳 噴火警戒レベル「2」に引き上げ

また、鹿児島と宮崎の県境にある霧島連山の新燃岳ではことし3月に火山性地震が増え、地下深くのマグマの蓄積を示す地殻変動も観測されたことから噴火警戒レベルが「2」に引き上げられました。

こちらも5月中旬以降、地震の回数は減少傾向にあるうえ西側斜面の割れ目付近でみられていた地熱域の拡大も特段の変化はなく、火山ガスの量も少ないということです。

ただ、4月以降、新燃岳付近の膨張を示すと考えられるわずかな地殻変動が認められ、中長期的に活動はやや高まった状態となっていて、今後の推移には注意が必要だとしています。

霧島連山の硫黄山 山頂付近がわずかに隆起

会合後に開かれた記者会見では、霧島連山の硫黄山でもことし4月から先月にかけて、衛星を使った観測で山頂付近がわずかに隆起する地殻変動が解析されたという最新の研究結果が紹介されました。

火山噴火予知連絡会の会長で九州大学の清水洋名誉教授はこれを引用したうえで「新燃岳を含めた霧島連山では深部のマグマの蓄積が観測され、すぐにおさまる状況ではない。切迫性は高くないが、硫黄山では山体の緩やかな膨張でも過去に水蒸気噴火が発生している。新燃岳などではどれぐらい膨張が続くか、今後注視していく必要がある」と話していました。

桜島 噴火活動が活発化する可能性

一方、鹿児島県の「桜島」ではことし2月以降、噴火活動はおおむね低調な状態で推移しているものの姶良カルデラでは長期にわたり供給されたマグマが蓄積された状態と考えられることから南岳山頂火口を中心に、今後、噴火活動が活発化する可能性があると指摘しています。

鹿児島県の「諏訪之瀬島」では長期にわたり噴火活動が活発となっていて、今後も噴火が発生し火口からおおむね2キロの範囲に大きな噴石が達する可能性があるとしています。

また、小笠原諸島の海底火山、「噴火浅根」ではことし3月に気象庁が気象衛星で観測された噴煙から噴火が発生したと判断し、周辺海域に噴火警報を発表しました。

しかし、その後の上空からの観測などでは確かな噴火の痕跡は確認されず、雲が急激に発達して上空に立ち上がり、噴火と捉えた可能性もあると指摘しています。

このほか、鹿児島県の口永良部島の火山活動の高まりを受けて噴火予知連絡会がおととし設置した専門部会は活動が低下したとして、廃止としました。