ロシア軍 ウクライナ東部ドネツク州に戦力集中か 市民は備え

ウクライナ東部ルハンシク州を掌握したとするロシア軍は今後、隣接する東部ドネツク州に戦力を集中させるとみられています。
ドネツク州では、攻勢が強まることに備えてパンや缶詰などの食料配付に市民が大勢集まる様子が見られました。

ロシア軍が攻勢を強めていたウクライナ東部ルハンシク州について、プーチン大統領は4日、ショイグ国防相からウクライナ側の最後の拠点とされるリシチャンシクを掌握し、ルハンシク州の軍事作戦が完了したと報告を受けました。

ロシア軍は今後、ルハンシク州に隣接するドネツク州の完全掌握に向け、戦力を集中させるとみられています。

ロシア国防省は4日、ドネツク州の各地をミサイルで攻撃し、指揮所や弾薬庫、武器庫などを破壊したと発表しています。

ドネツク州のクラマトルシクでは、ロシア軍の攻勢が強まることに備えてパンや缶詰などの食料配付に市民が大勢集まる様子が見られました。

クラマトルシクでは、すでに3分の2の市民が戦況の悪化を恐れて町を離れたものの、今も6万人余りがとどまっているということです。

一方、戦況を分析しているイギリス国防省は4日「ドネツク州の多くの地域はウクライナ軍が制御している。東部ドンバス地域の戦いは、激しい消耗戦となっている」として、こう着状態に陥るという見通しを示しました。

クラマトルシクでは不安の声も

クラマトルシクでは4日、不安の声が聞かれました。

ロシア軍がルハンシク州を掌握したと発表したあと、市民は次はドネツク州で攻勢が強まるのではないかと恐れているということで、28歳の女性は「ここ数日は外出しないようにしています」と話していました。

68歳の女性は「クラマトルシクは何度も攻撃にさらされていて怖いです」と話していました。

ゼレンスキー大統領「復興は今すぐ行う必要」

ゼレンスキー大統領は、4日に公開したビデオメッセージで、ロシア軍がウクライナ東部で攻勢を強めているという認識を示したうえで、「ウクライナ軍は、ロシア軍に反撃し、押し返す必要があるが、難しい仕事であり、時間と超人的な努力が必要だ。しかし、私たちにはほかに選択肢はない」と述べ、徹底抗戦を続けていく考えを示しました。

また、4日にスイス南部で行われたウクライナの復興を話し合う国際会議に関連してゼレンスキー大統領は「ウクライナの復興は、私たちの勝利のあとではなく、今すぐ行う必要がある。パートナーや、民主主義の世界全体で取り組まなければならない」と述べ、復興への取り組みに早期に着手する必要があると訴えました。