高知県に線状降水帯が発生 災害の危険度高まる

気象庁は5日午前0時39分、高知県に線状降水帯が確認され非常に激しい雨が同じ場所に降り続いているとして「顕著な大雨に関する情報」を発表しました。

「線状降水帯」は、発達した積乱雲が帯状に連なって大雨をもたらす現象で、気象庁は、命に危険が及ぶ土砂災害や洪水が発生する危険性が急激に高まっているとして、厳重に警戒するとともに、安全を確保するよう呼びかけています。

高知県では4日夜に入ってから西部の沿岸部を中心に発達した雨雲がかかり続けています。

4日午後11時までの1時間には、
▽高知県が中土佐町に設置した雨量計で101ミリ、
▽国土交通省が四万十町に設置した雨量計で84ミリの、
いずれも猛烈な雨を観測しました。

また、午前1時までの1時間でも須崎市で79.5ミリの非常に激しい雨が降りました。

気象庁は、同じような場所に発達した雨雲がかかり続けていることから、高知県では低い土地の浸水や土砂災害、川の増水に厳重に警戒するよう呼びかけています。

「顕著な大雨に関する情報」とは

「顕著な大雨に関する情報」は、発達した積乱雲が帯状に連なる「線状降水帯」が発生し、非常に激しい雨が同じ場所に降り続いて土砂災害や洪水の危険性が急激に高まったときに発表されます。

「線状降水帯」は、おととしの7月豪雨や平成30年の西日本豪雨など、これまでの豪雨災害で繰り返し確認され、予報を上回って、短い時間で状況が悪化する危険性があります。

この情報が出た際は、
▽自治体からの避難の情報に基づき、周囲の状況を確かめて早めの避難をするほか、
▽すでに避難場所までの移動が危険な場合は、崖や沢から離れた近くの頑丈な建物に移動したり建物の2階以上など浸水しにくい高い場所に移動したりするなど、身の安全を確保することが重要です。

情報が発表される基準は、
▽3時間の解析雨量が100ミリ以上になっている範囲が500平方キロメートル以上あることや、
▽その領域の形状が「線状」であることなどと決められています。

ただ、台風本体の雨雲が近づいた時など「線状降水帯」とは言えない状況でも発表されることがあります。

情報発表の際 外に出ることが危険になっているおそれも

注意が必要なのは、この情報が発表された際、すでに外に出ることすら危険になっているおそれもあることです。

気象庁が過去の災害事例で検証したところ「顕著な大雨に関する情報」を発表する基準に達していない段階でも大きな被害が出ていた事例があるということです。

また、情報が出ていない地域でも、今後、雨雲が移動し、急激に状況が悪化するおそれもあります。

このため気象庁は、避難情報に直結はせず、危機感を高めてもらうための情報だとし、5段階で運用されている大雨警戒レベルでは「レベル4“相当以上”」だとしています。

そのうえで、情報を待つことなく、気象庁のホームページで確認できる危険度分布や、河川の水位情報などをもとに、早めの避難を心がけて欲しいと呼びかけています。