ゼレンスキー大統領 ルハンシク州全域から軍の撤退認める

ロシア国防省が、ウクライナ東部2州のうちルハンシク州全域の掌握を主張したのに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ルハンシク州最後の拠点とされるリシチャンシクから軍を撤退させたことを事実上認めました。

ロシア国防省は3日、声明で、ロシアが完全掌握を目指していたウクライナ東部2州のうち、ルハンシク州について全域を掌握したとの主張を発表しました。

これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、公開した動画で「敵が火力で勝る地域において前線から兵士を引き揚げることは、リシチャンシクにも当てはまる」と述べ、ルハンシク州最後の拠点とされるリシチャンシクから軍を撤退させたことを事実上認めました。

これに先立って、ウクライナ軍の参謀本部は3日、SNSに、リシチャンシクの防衛を続ければ致命的な結果を招くとして、「兵士の命を守るため撤退することを決めた」と投稿しました。

一方、ゼレンスキー大統領は3日、「ロシア軍はきょう、スロビャンシクやクラマトルシク、それにハルキウを多連装ロケットシステムなどで激しく攻撃した」と述べ、隣接するドネツク州やハルキウ州に対してロシア軍による攻撃が激しさを増していると明らかにしました。

そのうえで、「スロビャンシクだけで6人が死亡し、およそ20人がけがをした。来月に10歳になるはずだった女の子も犠牲になった」と述べ、ロシア側を強く非難するとともに、徹底抗戦する姿勢を強調し、欧米各国からの軍事支援の重要性を改めて訴えました。