【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(4日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる4日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 ルハンシク州の軍事作戦完了の報告受ける

ロシアのプーチン大統領は4日、ショイグ国防相からウクライナの戦況について報告を受けました。

この中でショイグ国防相は「東部ルハンシク州の最大の街の1つであるリシチャンシクを掌握し、作戦は完了した」と述べ、ルハンシク州の軍事作戦は完了したと報告しました。

これを受けてプーチン大統領は、戦闘に関わった司令官などをたたえ「ルハンシク州で任務に関わり勝利した部隊は、まず休息をとり、戦闘能力を高める必要がある」と述べ、激しい消耗戦となる中、今後に向けて部隊を立て直す必要性に言及しました。

そのうえで「東西の部隊は、事前に承認された計画に従って任務を遂行しなければならない。ルハンシク州のように進められることを望む」と述べ、ウクライナの他の地域の掌握に向けて、作戦を推し進めるよう指示しました。

ウクライナの復興めぐる会議が開幕

ロシアによる軍事侵攻で甚大な被害を受けているウクライナの復興をめぐって、日本や欧米などの各国と国際機関の代表が話し合う会議が、4日、スイスで始まりました。

会議には、日本や欧米などおよそ40か国の政府関係者のほか、EU=ヨーロッパ連合の機関や世界銀行など国際機関の代表も出席しています。

会議では、ゼレンスキー大統領がオンラインで支援や協力を呼びかけるほか、ウクライナ政府によって、復興に向けた具体的な計画が初めて示される見通しです。

会議は2日間の日程で行われ、5日は、各国の代表がそれぞれ支援の方針を発表する予定となっています。

ウクライナ首相 “インフラの被害総額は1040億ドルに上る”

ロシアの軍事侵攻によるウクライナ国内のインフラの被害状況をめぐっては、ウクライナのシュミハリ首相が先月17日、イギリスで行われた会議にオンラインで参加し被害総額は1040億ドル、日本円にしておよそ14兆円に上ると明らかにしました。
この中でウクライナのシュミハリ首相は、ロシア軍の軍事侵攻で破壊されるなど何らかの被害を受けたインフラは656の医療機関、1200以上の教育機関、2万5000キロメートルの道路、300の橋、12の空港に上るなどと説明しました。そのうえでシュミハリ首相は「ウクライナにとっては戦場で勝利してもそれは半分の勝利しか意味しない。残り半分は国の復興の実現であり経済、エネルギー、インフラといった分野の再建が進むかどうかにかかっている」と述べました。
一方、ウクライナの首都キーウの大学もロシアの軍事侵攻によるインフラの被害額についてまとめた報告書を先月発表しました。それによりますと、被害額は住宅がおよそ393億ドル、道路がおよそ300億ドル、企業や工場がおよそ114億ドル、民間の空港施設がおよそ68億ドル、鉄道の駅や車両がおよそ26億ドルなどとなっています。また病院や学校などへの攻撃も相次いでいると指摘し、被害額は医療機関がおよそ11億ドル、教育機関がおよそ16億ドル、幼稚園がおよそ5億ドルに上るなどとしています。

ゼレンスキー大統領「89人のスポーツ選手 指導者が戦闘で死亡」

ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、首都キーウを訪れたIOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長と記者会見し「多くのウクライナの選手は軍に加わり戦場で国を守っている。89人のスポーツ選手と指導者が戦闘で死亡し、13人がロシア側に拘束されている」と述べ、軍事侵攻がスポーツ界にも大きな被害を与えていると強調しました。
一方、バッハ会長は「私たちはウクライナの人々、特にウクライナのオリンピックの関係者との連帯を示すためにここに来た」と述べました。そのうえでバッハ会長はウクライナのスポーツ界に対する支援を強化するための基金を従来の3倍に当たる750万ドル、日本円で10億円余りに増額することを明らかにしました。

ゼレンスキー大統領「スロビャンシクで6人死亡 女の子も犠牲」

ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、新たな動画を公開し、東部のドネツク州などについて「ロシア軍はきょうスロビャンシクやクラマトルシク、それにハルキウを多連装ロケットシステムなどで激しく攻撃した」と述べ、隣接するドネツク州やハルキウ州に対してロシア軍による攻撃が激しさを増していると明らかにしました。そのうえで「スロビャンシクだけで6人が死亡し、およそ20人がけがをした。来月10歳になるはずだった女の子も犠牲になった」と述べ、ロシア側を強く非難しました。
さらにゼレンスキー大統領は「各国から受け取った高機動ロケット砲システム=ハイマースなどの兵器が重要な役割を果たしていて、われわれは徐々に前進している」として抗戦を続ける姿勢を強調するとともに欧米各国からの軍事支援の重要性を訴えました。

ロシア軍 ドネツク州の掌握に向け攻勢か

親ロシア派の武装勢力の幹部はSNSでリシチャンシクから西に30キロほど離れたドネツク州の町で「戦闘がすでに始まっている」と述べています。ロシア軍はルハンシク州に続いてドネツク州の掌握に向けた攻勢を強めるものとみられます。

ロシア「ルハンシク州掌握」ウクライナ「兵士の命守るため撤退」

ロシア国防省は3日、完全掌握を目指しているウクライナ東部2州のうちルハンシク州でウクライナ側最後の拠点とされるリシチャンシクを支配下に置いたと主張したうえで「ショイグ国防相がルハンシク州全域を掌握したとプーチン大統領に報告した」と発表。
ルハンシク州の親ロシア派の武装勢力の指導者パセチニク氏は3日、SNSに「われわれの歴史に永遠に刻まれる日だ」などと投稿しました。
これに対しウクライナ軍の参謀本部は3日SNSに投稿し、武器や兵力などの面でロシア側が優位にあるとしたうえでリシチャンシクの防衛を続ければ致命的な結果を招くとして「兵士の命を守るため撤退することを決めた」と強調しました。
ただゼレンスキー大統領はこの日ウクライナを訪問したオーストラリアのアルバニージー首相との会談後の記者会見で「リシチャンシク周辺での戦闘は続いている」と述べました。

トルコ駐在ウクライナ大使「トルコ当局がロシア貨物船を拘束」

ロイター通信によりますと、トルコに駐在するウクライナの大使は3日、ウクライナのテレビ番組で「トルコの税関当局がロシアの貨物船を拘束した」と明らかにしました。ロイター通信はこの中で大使が「貨物船はウクライナから盗まれた穀物を運んでいた」と述べたと伝えています。
ウクライナからの穀物の輸出はロシア軍の海上封鎖によって滞っている上、ウクライナ側はロシアが穀物を盗んで運び出していると非難していますが、ロシア側は否定しています。

ドネツク州 スロビャンシクの市長「これまでで最も激しい攻撃」

東部ドネツク州にあるスロビャンシクの市長は3日、SNSに動画を投稿し「これまでで最も激しい攻撃があった。多くの死傷者が出ている」と明らかにしました。動画では市長の背後に攻撃によるものとみられる煙が立ち上っているのが確認できます。
ウクライナの公共放送はドネツク州政府の報道官の話として、スロビャンシクへの攻撃で6人が死亡し15人がけがをしたと伝えています。

ウクライナの復興めぐる国際会議 スイスで4日から開催

ウクライナの復興をめぐる国際会議は、ウクライナとスイスの両政府がスイス南部のルガーノで4日から2日間の日程で初めて開きます。
スイス政府によりますと、会議には日本を含め欧米などおよそ40か国の政府関係者のほか、EU=ヨーロッパ連合の機関や世界銀行など国際機関の代表も出席する予定です。ウクライナ政府は先月、ロシアの軍事侵攻によるインフラの被害はこれまでのところ総額で1040億ドル、日本円にしておよそ14兆円に上ると明らかにしています。ウクライナ政府としては今回の会議をばく大な資金が必要となる復興の出発点と位置づけ各国から長期的な支援を取り付けたい考えとみられます。

オーストラリア首相 「戦争犯罪だ」首都キーウ近郊の視察で

オーストラリアのアルバニージー首相は3日、ウクライナを訪問し、ロシアによる攻撃を受けた首都キーウ近郊を視察しました。このうちイルピンではミサイルなどで破壊された住宅などを見て回り、地元の関係者から説明を受けました。アルバニージー首相は「悲惨な状況で人々の暮らしや命までもが失われた。これは戦争犯罪だ」と述べました。
このあとアルバニージー首相はウクライナのゼレンスキー大統領と会談しました。会談後の記者会見でアルバニージー首相は「オーストラリアはウクライナが勝利をおさめるまでウクライナ政府と国民を支援し続ける用意がある」と述べたうえで、ロシアの政府高官などに対する新たな経済制裁のほか、ドローンの供与など追加の軍事支援を行うことを明らかにしました。これに対しゼレンスキー大統領は「ロシアとの戦闘の中で兵器が十分に足りているということは決してない。オーストラリアの支援に感謝する」と述べました。