ロシア軍 ルハンシク州でウクライナ側拠点を完全包囲と主張

ロシア軍は東部ルハンシク州のウクライナ側の拠点を完全に包囲したなどと主張し、州全域の掌握に向けて、さらに攻勢を強める構えです。またロシア軍の制服組トップが、前線の部隊を視察したと発表し、兵士の士気を高めることで戦況を有利に進めたい思惑があるとみられます。

ロシア軍は完全掌握を目指す東部ルハンシク州で攻勢を強めていて、ウクライナ側の拠点、リシチャンシクに部隊を進め、周辺の主要なインフラ施設を次々と掌握したとしています。

親ロシア派の武装勢力は2日、ロシアのメディアに対し「リシチャンシクを完全に包囲した。ウクライナ側はもう逃れられない」と述べ、さらに攻勢を強める構えを示しました。

さらに、親ロシア派の武装勢力は、その後、リシチャンシクの行政権を完全に支配下においたと主張しました。

これに対しウクライナ側の報道官は、地元メディアに対し「まだ包囲はされていない」としていますが、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は2日、「リシチャンシクではロシア軍が動き回り、ウクライナ軍はほとんど、もしくはまったく残っていないとみられる」としてリシチャンシクからウクライナ軍が撤退した結果、ロシア軍が掌握したという見方を示しました。

またロシア国防省は2日、東部ドネツク州や、南東部ザポリージャ州、南部ミコライウ州で、ウクライナ軍の指揮所や弾薬庫、兵器などをミサイル攻撃で破壊したと発表しました。

ロシア軍は広範囲にわたって、ミサイルによる攻撃を強めていて、イギリス国防省は2日、ロシア軍が都市部の目標を正確に攻撃するためのミサイルではなく、対艦ミサイルを使っていると指摘し、こうした攻撃が続くことで市民の犠牲がさらに増えることが懸念されます。

こうしたなか、ロシア国防省は2日、ロシア軍の制服組トップのゲラシモフ参謀総長が前線の部隊を視察したと発表し、司令官から報告を受ける写真などを公開しました。

具体的な場所は明らかにしていませんが、先月(6月)26日にもショイグ国防相が、軍事作戦の司令部を訪問したとする映像を公開し、軍事侵攻後、初めてウクライナの前線を視察したとみられています。

ロシアとしては、軍の最高幹部が相次いで前線の部隊を視察したことを公表することで、兵士の士気を高め、一進一退の攻防が続く戦況を有利に進めたい思惑があるとみられます。