【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(3日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる3日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア国防省「ルハンシク州全域を掌握」

ロシア国防省は3日、声明で、完全掌握を目指すウクライナ東部2州のうち、ルハンシク州内のウクライナ側最後の拠点とされるリシチャンシクをめぐり、市内とその周辺を支配下に置いたと主張。
そのうえで「ショイグ国防相がルハンシク州全域を掌握したとプーチン大統領に報告した」と発表しました。
これまでのところ、ウクライナ側からの反応は伝えられていません。
リシチャンシクをめぐる状況については、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も2日「リシチャンシクではロシア軍が動き回り、ウクライナ軍はほとんど、もしくは全く残っていないとみられる」としていました。

ロシア軍はこのあと同じ東部のドネツク州の掌握もねらうものとみられ長期に及ぶ軍事侵攻の出口はなお見通せていません。

ロシア西部 ベルゴロド州で被害 地元知事がSNS投稿

ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州の知事は3日、SNSに州内で大規模な爆発が起きて複数の集合住宅や民家などが被害にあい、これまでに少なくとも4人が死亡し、子どもを含む4人がけがをしたと投稿しました。

ロシア国防省は3日「ウクライナ側がベルゴロドの住宅地を夜間に故意にねらった」と主張していて、緊張がさらに高まるおそれもあります。

東部の拠点リシチャンシク 「完全掌握を報告」

ロシア軍は完全掌握を目指す東部ルハンシク州で攻勢を強めていて、ウクライナ側の州内最後の拠点とされるリシチャンシクに部隊を進め、周辺の主要なインフラ施設を次々と掌握したとしています。そして、ロシア国防省は先ほど「ショイグ国防相がリシチャンシクを完全に掌握したことをプーチン大統領に報告した」と発表しました。

ウクライナ側のルハンシク州最後の拠点とされるリシチャンシクが掌握されれば、ルハンシク州全域がロシア側によって掌握される見通しも強まることからウクライナ東部の戦闘は重要な局面を迎えています。

ルハンシク州知事「リシチャンシクは炎に包まれている」

ウクライナ東部ルハンシク州のハイダイ知事は3日、自身のSNSでウクライナ側の最後の拠点とされるリシチャンシクの状況について投稿しました。この中で「リシチャンシクは炎に包まれている。ロシア軍はリシチャンシクに全勢力を投入したようだ。彼らは理解しがたいほどの残忍な戦術で街を攻撃した。ロシア軍は多くの犠牲を出しながらも、執ように前進している。そして、街に拠点を置き、近くの集落を破壊し続けている」として激しい攻撃にさらされていることを明らかにしました。

ウクライナ 銅像撤去などロシアの影響力排除の動き

首都キーウでは、ことし4月26日、ソビエト時代の1982年に、それぞれ連邦を構成する共和国だったウクライナとロシアの友好の象徴として建てられた、双方の労働者をかたどった銅像が撤去されました。現在は、銅像の台座の部分が残されているだけで、同じ広場にある「友好のアーチ」と呼ばれてきた建造物も「自由のアーチ」に名前が変更されました。
キーウ市によりますと、市内では、このほかにもソビエトやロシア、そしてロシアの同盟国ベラルーシに関係する記念碑などを撤去するほか、通りや地下鉄の駅などの名前も、ウクライナの歴史や文化に由来するものに変更する計画で、その数はおよそ460に上るということです。

また、ウクライナの議会は、先月19日にロシアからの出版物の輸入を禁止する法案や、ロシア人の歌手などの音楽を公共の場で演奏したり、放送したりすることを制限する法案を可決し、今後、ゼレンスキー大統領の署名を経て、法律として制定される見通しです。

さらに今月1日からは、これまでロシア人に認めてきたウクライナに入国する際のビザの取得を免除する措置を停止し、ビザの取得を義務づけました。こうした一連の動きは、軍事侵攻で強まる反ロシア感情を背景にしたもので、ウクライナでのロシアの影響力をさまざまな分野で排除するねらいがあると見られます。

一方、ロシアは、ウクライナのゼレンスキー政権がロシア系住民を迫害しているとして軍事侵攻を正当化してきたいきさつがあるだけに、反発をさらに強めることも予想されます。

親ロシア派 「リシチャンシクを包囲」と主張

親ロシア派の武装勢力は2日、ロシアのメディアに対し「リシチャンシクを完全に包囲した。ウクライナ側はもう逃れられない」と述べ、さらに攻勢を強める構えを示しました。
さらに、親ロシア派の武装勢力は、その後リシチャンシクの行政権を完全に支配下においたと主張しました。
これに対しウクライナ側の報道官は、地元メディアに対し「まだ包囲はされていない」とする一方、周辺では激しい戦闘が起きているとしていて、ロシア側との間で攻防が続いているもようです。

ロシア軍が広範囲でミサイル攻撃

ロシア国防省は2日、東部ドネツク州や、南東部ザポリージャ州、南部ミコライウ州で、ウクライナ軍の指揮所や弾薬庫、兵器などをミサイル攻撃で破壊したと発表しました。
ロシア軍は広範囲にわたって、ミサイルによる攻撃を強めていて、イギリス国防省は2日、ロシア軍が都市部の目標を正確に攻撃するためのミサイルではなく、対艦ミサイルを使っていると指摘し、こうした攻撃が続くことで市民の犠牲がさらに増えることが懸念されます。

ロシア軍 ゲラシモフ参謀総長が前線視察

ロシア国防省は2日、ロシア軍の制服組トップのゲラシモフ参謀総長が前線の部隊を視察したと発表し、司令官から報告を受ける写真などを公開しました。
具体的な場所は明らかにしていませんが、先月26日にもショイグ国防相が、軍事作戦の司令部を訪問したとする映像を公開し、軍事侵攻後、初めてウクライナの前線を視察したとみられています。
ロシアとしては、軍の最高幹部が相次いで前線の部隊を視察したことを公表することで、兵士の士気を高め一進一退の攻防が続く戦況を有利に進めたい思惑があるとみられます。