“サハリン2をロシア企業に” 経済制裁強める日本に揺さぶりか

ロシアのプーチン大統領が「サハリン2」の事業主体を新たに設立するロシア企業に変更するよう命じる大統領令に署名したことをめぐって、日本の政府関係者の間では経済制裁を強める日本に揺さぶりをかけるねらいがあるという見方が出ています。

ロシアのプーチン大統領は30日、日本の大手商社も出資する「サハリン2」の事業主体を政府が新たに設立するロシア企業に変更するよう命じる大統領令に署名しました。

この大統領令は、ロシアで産出される天然資源の利用をロシアの法人などに限る法律が根拠になっていて、「サハリン2」の権益を持つ日本の大手商社が今後、運営に関われなくなる可能性もあります。

「サハリン2」から輸入されるLNG=液化天然ガスは日本の輸入量全体の1割近くを占め、政府は国内の安定供給に欠かせないとして、撤退しない方針を示してきました。

このため、今回のロシア側の対応について、政府関係者の間ではロシアが経済制裁を強める日本に対してLNGを武器に揺さぶりをかけるねらいがあるという見方が出ています。

萩生田経済産業大臣は7月1日、記者団の取材に対し、今回の大統領令は日本企業の権益を強制的に取り上げる「接収」ではないとしながらも、日本企業の権益の扱いやLNGの輸入に与える影響を慎重に見極める考えを示しています。

ロシアのエネルギー専門家「日本政府に対する ある種の報復」

ロシアのエネルギー専門家でロシア国外に住むミハイル・クルチヒン氏は「ウクライナを支援する日本政府に対する、ある種の報復だろう」と述べました。

また、国外のパートナー企業から必要な技術や設備などが入手できなくなればプロジェクトに大きな影響が出るとして「ロシアにとっても何のメリットもない」と述べ、ビジネス上の利益とは関係なく、政治的な措置だと指摘しました。

そのうえでロシアが今後、別のプロジェクトでも非友好国とする国に報復措置をとる可能性があるという見方を示しました。