ウクライナ 黒海の島奪還も ロシアがオデーサ州でミサイル攻撃

ロシア軍による侵攻が続くウクライナでは南部でも戦闘が激しさを増しています。
ウクライナ軍は、ロシアが占拠していた黒海の拠点の島を奪還したと強調しましたが、ロシア軍はオデーサ州でミサイル攻撃を行い、子どもを含む19人が死亡するなど市民への犠牲が広がっています。

ウクライナ南部のオデーサ州の沖合にあり、ロシア軍が占拠していた黒海のズミイヌイ島について、ウクライナのゼレンスキー大統領は先月30日「ズミイヌイ島は再び自由になっている」と述べ、島を奪還したと強調しました。

ズミイヌイ島は、ことし2月に軍事侵攻が始まった直後にロシア軍に占拠され、ロシア側が港湾都市オデーサとその周辺一帯を攻略する拠点と位置づけているとみられていました。

ウクライナ軍のザルジニー総司令官も、自身のSNSに投稿し、ウクライナ製のりゅう弾砲が島の解放に重要な役割を果たしたと明らかにしました。

そのうえで「敵を打ち負かす手段を提供してくれた海外のパートナーに感謝する」として、ウクライナと、軍事支援を続けている欧米各国との連携もあって島を奪還できたとしています。

ロシア軍の撤退について、イギリス国防省は1日、「ウクライナ軍は過去数週間、ミサイルとドローンを使い、ロシア軍の駐屯地への攻撃を行った。さらに対艦ミサイルで島への補給を試みるロシア海軍の艦艇を阻止した」と指摘しています。

そのうえで「ロシア側は『善意の印』として部隊を撤退させたと主張するがロシア軍の駐屯地が孤立し、ウクライナの攻撃に対するぜい弱性が増したことで撤退した可能性が高い」と分析しています。

一方、ウクライナの非常事態庁によりますと、南部のオデーサ州で1日未明、9階建ての集合住宅と保養施設にミサイル攻撃があり、子どもを含む19人が死亡したということです。

また、子ども6人を含む38人がけがをしたとしています。

オデーサ州の当局は、ウクライナ軍の話として、ミサイル攻撃は、黒海方面からのロシアの軍用機によるものだと伝えています。

ウクライナ軍参謀本部は30日の会見で、ロシア軍によるウクライナ国内へのミサイル攻撃の回数について、6月後半の期間だけで202回に上り、急増していると明らかにしました。

ウクライナ側は、多くの民間施設が標的になっているとして市民に対する無差別攻撃だと強く非難しています。